お母さんのための解説
    <説明文学習>

  「教師とお母さんのための国語指導法」で使っている用語について解説します。 

   教師にとっては通常使っている用語ですが、お母さん方にとってはなじみのない言葉も多く使っています。子どもに聞かれた時、答えることができるように書 こうと心がけました。

        目     次

  1 題

   2 通読

  3 形式段落と意味段落

  4 つなぎ言葉(接続語)

   5 こそあど言葉(指示語)

  6 重要語句

  7 文末表現

   8 文頭

  9 これまでのまとめ

 10 省略された語句

  11 文章構

 12 題・冒頭部分

 13 読みの視点

  14 冒頭と結

 15 段落の役割

 16 段落の要点

  17 要

 18 表現技法

 19 比較の思考

  20 筆者の工

 21 筆者の感情・態度

 22 筆者の願い  

   



  1 題

   これはお分かりの通り、文章(教材)のタイトル(題名)のことです。

     題は、筆者がつけるものと教科書の編集者がつけるものがあります。筆者の名前が明示してある教材は、筆者がつけたものと

    考えます。

    筆者は、読んでくれる相手(読者=子ども)を念頭 において文章を書いています。1年生の教材であれば、1年生の子どもたちが

    読んで理解できるような内容を取り上げ、1年生の大部分が理解 できるように、文章を構成し、1年生が飽きないで最後まで読ん

   でくれるように工夫しながら説明していくのです。

   その工夫の大事なものとして、「題」があります。

   題は、その説明文の内容を端的に示しています。

   「めだか」という題は、「めだかについて説明してい ますよ」ということを表しています。

    ところが、子どもたちに読んでみたいという気持ち(興味・疑問・驚き)を持ってもらうためには、もう一工夫が必要です。そこで、たい

   ていの説明 文では、二つの言葉を使っています。

     「どうぶつの赤ちゃん」→子どもたちはまだ、動物という概念が薄いです。また、「どうぶつ」だけでは範囲が広すぎて、イメージを浮

                    かべることができません。そこで、「赤ちゃん」という子供たちが身近に感じられる言葉を使っています。

                    そうすると、子どもたちは、「ああ、赤ちゃんのこ   となのだな」と思って、教材を読んでいくことができます。

     「すみれとあり」→子どもたちは、この2つのこと、「すみれ」と「あり」を 関係付けて考えたことはないでしょう。まったくつながりがありま

               せん。何のことだろうという疑問が浮 かびます。その疑問を頭において読んでいくことになります。

    ですから、「題」はとても大切なのです。筆者 が苦心して考えるはじめの一つです。


  2 通読

     その教材を最後まで読むことです。1年生では、音読(声に出して読む)からはじまります。はじめの段階は、「分かち書き」(普通

    ならきらないで続け て書くところをきり、空白をおいています)をその通り読むことから次第に空白をとばして読むように進みます。

    この時期の教材は、文章が短いです。

     句読点で、「間」をとることを身に着け早く読めるようになります。一斉読(全員で読む、班で読む)や指名読(個人を指名して読ませ、

    他の子どもたちは、それを聞きながら文章に目を走らせ黙読くします)が使われます。

     高学年になると、黙読が主になります。

 

  3 形式段落と意味段落

    「文」とは、句点(。)で区切られた一つの文のことです。

    「文」が、一つ以上集まって、ある事柄について述べてある部分を「段落」といいます。

    「段落」は、1マス分下がったところから次の一とマス下がったところの前までです。これを「形式段落」と呼びます。ふつう「段落」と

   いうとこの「形式段落」のことです。

   「意味段落」とは、「形式段落」が集まって一つの大きなこと表すとき使います。「意味段落」内の 「形式段落」は、連続しています。

   「形式段落」が一つで も、前後とむすびつかなければ、「意味段落」となります。

    「意味段落」を示すために、1行空けることがあります。「行空け」とか「空行」といいます。

 

  

  4 つなぎ言葉(接続語)

     前後の文をつなぐ働きをしているのが、「つなぎ言葉」です。これは低学年用の用語で、高学年では、「接続語」というようになり

    ます。「接続語」という用語は大学まで変わりません。

    見 つけ方は簡単です。前後の文をつないでいるのですから、前の文の後にあり、次の文の前にあります。読点(。)の後にあります。

     つなぎ言葉の後には、必ず句点(、)がありますから、必ず見つけることができます。

     教科書に出てくる接続語を挙げてみましょう。

     1 前の文に続けて、後の文がある場合(同じ内容が書いてある)

       そして  そうして  それか ら  そこで  それで  さらに  つぎに  それどころか  それに  すると  また  おまけに

       さらに  まもなく  やがて  それから  そうすると  そうしたら  とたんに


     2 前の文の内容を発展させたり、例を挙げたりする場合

       やがて  ところで  たとえ ば  さらに  かえって  ですから  もし

      3 前の文と反対のことが書いてある場合

       だが  しかし  ところが  けれども  それでも でも
 


  5 こそあど言葉(指示語)

    言 葉のはじめに、「こ、そ、あ、ど」がつく言葉。

事物 場所 方向 人称 連体詞 副詞 形容動詞
コ系列  これ  ここ  こっち(こちら)  こいつ(こなた)  この  こう  こんな
ソ系列  それ  そこ  そっち(そちら)  そいつ(そなた)  その  そう  そんな
ア系列  あれ  あそこ  あっち(あちら)  あいつ(あなた)  あの  ああ  あんな
ド系列  どれ  どこ  どっち(どちら)  どいつ(どなた)  どの  どう  どんな

 

  6 重要語句

       「重要語句」は、「大事な言葉」  ともいいます。低学年では、だいたい「大事な言葉」といいます。

       「重要語句(大事な言葉)に気をつけて要点をまとめましょう」と、よくいいます。では、「どんな言葉が重要語句ですか」と聞く

      と、「それは教材によって違います」という返事しかかえって来ません。その教材ごとに違うのですから、次の教材を読むとき

      の力にはなりません。

        これでは、子どもたちには学力がつきません。

      そこで、「どの教材にでも適用でき、どの子でも見つけることができる重要語句を次のように考えました。

          (1) 題にある言葉→1~3程度あります。

            「どうぶつの赤ちゃん」であれば、「どうぶつ」と「赤ちゃん」の二つです。

        (2) 題にある言葉に関係る言葉

            「どうぶつの赤ちゃん」では、「赤ちゃん」という言葉は何回も出てきますが、「どうぶつ」という言葉は2回しか出てき

            ません。

            こんなはずはありません。題にある言葉ですから重要語句なのです。そこで、形を変えて出ているのではないかと考

           えます。

            そう考えてみますとありました。②に「ライオン」、⑤に「しまうま」、 ⑧に「カンガルー」が出てきます。

            今度は、「赤ちゃん」に関係ある言葉はないか探します。「おかあさん」です。②、③、④、⑤、⑥、⑦、⑨、⑩とたくさん

           出てきます。

        (3)頻出語句→何回も出てくる言葉です。

            これは、2回以上出てくる言葉の中から探します。3回以上出て来て、内容と関係ある場合は、紛れもなく重要語句と

           いっていいでしょう。

            「どう づつの赤ちゃん」では、「おちち」や「のむ」、「生まれる」、「じぶんで」や「たべる」が該当すると思います。

            これらは、みんな「赤ちゃん」にかんけいすることばですから、「赤ちゃん」と同じ色で塗るといいでしょう。   

 
   7 文末表現

       「文末」というのは、文字通り文の最後のことです。子どもは、句点(。)の前だけ見ていけばいいのです。

       「文末」だけを見ていくだけでいろいろなことが分かります。

 
     (1) その文章が、敬体(丁寧な書き方)であるか、常体(普通の書き方)であるかが分かります。

         敬体は、「ます」「です」となりますし、常体は、「ある」「である」となります。

         普通説明文は、常体で書かれていますが、低学年の教材は、敬体で書かれています。

     (2) 時制が分かります。

       時制というの は、そのことが過去のことなのか、現在のことなのかということです。

        「過去形」は、文末が「た」とか「だ」で終っています。「現在形」は、「る」とか「す」で終っています。

        説明文は、現在形で書かれているのが普通ですが、誰かが実験したことや観察したことの場合は、「過去形」の「た」とか

       「だ」を使っています。

    (3) 文の役割が分かりま す

        問いかけや疑問の場合は、「のでしょうか」 とか「なぜ・・・でしょう」が使われます。

        答え の場合は、「のです」や「からです」

  8 文頭 

       「文頭」というのは、文のはじめのことです。「文末」と対だと考えてください。

             文頭の言葉(段落のはじめの言葉)を見るだけで、その文(段落)のことがわかります。

      (1) 主語として使われている場合は、その文に何のことが書かれているかが分かります。

      (2) 接続語の場合は、前の文との関係が分かります。

      (3) 指示語の場合は、前の文にその指示語の指示内容が書いてあります。それを指示語と入れ替えて読むと意味が

         通じます。 

       ・段落の冒頭に注目して、段落のつながりを示す言葉を見つける。ない教材もある。
        「はじめに、次に、」、「第 一に、第二に、第三に、」など。 

      ・問題を出している段落と答えの段落を 見つける。
       問題を出している段落が、最初か、その次が多い。
        答えを言っている段落は、最後か、その前にある。

       ・まとめの言葉はどこにあるか。
       このように、この(研究・実験・観察)から、このことから、これらのことか ら、




  9 これまでのまとめ

      これまで述べてきた事柄を「どうぶつの赤ちゃん」の教材文を例として、提示します。

     光村図書掲載  1年教材

                                         どうぶつ赤ちゃん

                                                                  ますい みつこ



どうぶつ赤ちゃんは、生まれたばかりのときは、どんな ようすをしているのでしょう
  <そして>、どのようにして、大きくなっていくの でしょう

ライオン赤ちゃんは、
生まれたと きは、子ねこぐらいの大きさです。目や耳は、とじたままです。ラ イオンは、どうぶつの 王さまといわれます。<けれども>、赤ちゃ んは、よわよわしくて、お かあさんにあまりにていません。
ライオン赤ちゃんは、じぶんではあるくことができませ ん。よそへいくときは、おかあさんに、 口にくわえてはこんでもらうのです。
ラ イオン赤ちゃ んは、
生まれ二か月ぐらいは、おちちだけのんでいますが、<やがて>、おかあさんのとったえものをたべは じめます。一年ぐらいたつと、おかあさんや なかまがするのを見て、えもののとりかたをおぼえます。<そして>、じぶんでつ かまえてたべるよ うになります。

し まうま赤ちゃ んは、
生まれたと きに、もうやぎぐらいの大きさがあります。目はあいていて、耳もぴんとたっています。しまのもようもついていて、おかあさんにそっくりです。
しまうま赤ちゃんは、
生まれ三十ぷんもたたないうちに、じぶんでた ち上がります。そして、つぎの日には、はしるようになります。だから、つよいどうぶつにおそわれても、おかあさんやなかまといっしょに にげることができるのです。
し まうま赤ちゃ んが、おかあさ ん
おちちだ けのんでい るのは、たった七日ぐらいのあいだです。そのあとは、おちちますが、じぶんで草 もたべるよ うになります。

カ ンガルー赤 ちゃんは、
生まれたと きは、たいへんちいさくて、一円玉ぐらいのおもさです。目も耳も、どこにあるのかまだよくわかりません。はっきりわかるのは、口とまえあしだけです。
⑨ それでも、この赤ちゃんは、 小さなまえあしで、おかあさんの おなかにはい上がっていきます。<そして>、
じぶんの 力で、おなかのふくろにはいります。カンガルー赤ちゃんは、小さくてもおかあさんのおなかのふくろにま もられてあんぜんなのです。
カ ンガルー赤 ちゃんは、ふくろの中でお かあさん
おちちのんで大 きくなります。そうして、六か月ほどたつと、ふくろのそとに出て、じぶんで草 もたべるよ うになります。


  全体を眺めて見ましょう。

  (1)  重要語句に蛍光ペンで塗ったことによる効果

    ①  どの段 落にも2種類の色が塗ってある。→どの段落にも、「どうぶつ」と「赤ちゃん」のことが書かれている。

        教材によっては、はじめと終わりの段落には、2種類塗ってあるが、途中の段落には1種類しか塗られていない場合があり

       ます。それは、その段落は、片方のことしか書いていないということです。

     ② 圧倒的に青色が多い。→「どうぶつ」のことより、「赤ちゃん」のことが中心になっています。

   (2) 「のでしょう」という文末表現は、①にしかない。→②~⑩までは、①の答え(説明)です。

10  省略されている語句

    題にある重要語句は、しばしば省略されていることがあります。それを考えて補うことによって、低学年では特に思考力がつきます。
    
   具体的には、教材の「学習訓練」という部分を見てください。



11  文章構成

    文章の組み立てのことです。説明文は、どんなものでも大きく3つの部分から構成されています。

     「序論」・「本論」・「結論」の3つです。「本論」が一番長くなります。低学年では、「はじめ」・「中」・「おわり」といいます。

    「序論」で、これから述べることについて書き、それを「本論」で詳しく述べ、「結論」でまとめるのです。

     1年生の教材では、「どうぶつの赤ちゃん」のように、「結論」部分が省略されているものが多いです。

 

12  題・冒頭部分 

       題で何について述べているかを示し、冒頭部分(序論)で具体的に問題を提起しているのが普通です。

      冒頭部分というのは、大抵①~③段落までをいいます。

13 読みの視点

      「読みの視点」というのは、その説明文を読んでいくために何に目をつけていけばいいかを示しています。

     筆者が、このことについて読んでほしいといっています。

     「どうぶつの赤ちゃん」では、「生まれたばかりのようす」と「どのようにして大きくなっていくか」について分かってほしいといってい

    ます。

14  冒頭部分と結び

      冒頭(序論)と結 び(結論)は、対応しています。「序論」で問題を出して、「本論」で詳しく読み手を納得させるように述べ、それ

      をもとに「結論」でまとめています。ですから、「序論」と「結論」には、同じ重要語句が必ず出てきます。そして、内容は必ず対

      応しています。

       3年の「ありの行列」を例に考えて見ましょう。

        冒頭部分   ①段落 なぜ、ありの行列できるのでしょうか。

        結び      ⑨段落 ありの行列できるというわけです。

 

              

15  段落の役割

    段落は、それぞれ特有の役割をになっ ています。大きく見ると、問題提起、説明、例、意見、答え、まとめ等ということになります。

    「どうぶつ の赤ちゃん」では、①が問題提起で、③から⑩までは「例」です。この例は、問題の答えにもなっています。

     まとめの段落はあ りません。

    「ありの行列」では、①が問題提起で、②が例の提起で、③と④が実験の説明です。、⑤がそれ を受けた新たな疑問の提示で、

    ⑥が答えです。⑦はつなぎの段落で読み手に新たな疑問を持たせます。⑧がその答えで、⑨が全体 のまとめになっています。  

16  段落の要点

    「何がどうした」をとらえ、それに「どのように」をつけたすと簡単な要点になります。 

       要点をまとめてどう表現するかが問題です。話して表現するか、書いて表現するかです。

   書いて表現するのは高度な作業になります。低学年に とっては大変な作業です。また、総ての段落の要点をまとめるのは

   至難の業です。ですから、要点の訓練は、簡単に分かる段落に 限ります。面倒な段落はカットしていいです。そうしないと子ど

   もはこの作業が嫌いになります。

   書いて表現するのは、高学年になってからやった方がい いと思います。


17  要約 

    この作業は、とても面倒ですから、高学年が対象となります。それもあまり長い文章は、対象にしない方がいいです。

    低学年の教材を使って訓練するのが効果的です。

    要約とは、説明文の内容を自分のことばも用いて短くまとめることです。説明文には、「その文章で筆者が最も言いたいこと、

    読み手に分かってほしいこと」があります。そして、それを効果的に述べるために(読み手が好奇心を持って最後まで読み、

    内容を理解することができるために)、文章の構成(文脈といってもいいでしょう)を工夫しているのです。

    それらをふまえて文章を短くまとめるのです。

    段落の要点をつなげると、一番長い要約になります。これを吟味して、削れる段落はけずり、短くできるところは短くし、統合でき

    る段落は統合して短くしていくといっそう要約に近くなります。それを、筆者の言いたいことが抜けていないか、文章のつながりが

    おかしくないかという観点で見直します。自分で納得できたらそれで出来上がりです。

    他の人と違っていてもいいのです。大筋が違っていなければそれでいいのです。

18  表現技法  

    筆者の感情を探るいい材料になりますし、子どもたちが表現活動をするときに役立ちます。

    

 (1) 比 喩 法

       叙述や説明に非常に使われ、その物でははっきりとしないことを明瞭にする効果があります。
       言葉を他の言葉に置き換えて表現し、その言葉が示すことを生き生きと実感させる効果を持っています。    

  ア 伝達のための比喩

       自分が伝えようとするもの、または事柄を、読み手がまったく知らないために、そのまま言ったのでは、まるっきり分かってもら

      えない場合に使います。抽象的な ものを具体的なもので表すと読み手は類推することができます。

     イ 強調のための比喩

     自分が伝えようとするもの、または事柄を、読者がよく知っているのでそのまま言ってもいいのだが、自分としては他のもの で

     たとえそのイメージを借り て、より豊かに伝えたい(強くいいたい)時にいまう。


      教材では、「まるで~のようだ」のように、比喩であることを読み手がはっきり分かるように使われています。

     何を、何にたとえているによってイメージが違ってきます。プラスイメージのものにたとえるとプラスのイ メージが伝わりますし、

     マイナスイメージのものにたとえる とマイナスイメージとなって伝わります。

     教材では、読み手がいいイメージ、正確なイメージを持つようなものにたとえるのが普通です。

        「どうぶつの赤ちゃ ん」には、次のような比喩が使われています。

 

          「子ねこぐらいの大きさ」

             ライオン の赤ちゃんを「子ねこ」にたとえています。

              子どもたちは日常目にしている子ねこを思い浮かべます。

              大部分の子どもは、子ねこを抱いた経験があります。柔らかさ、温かさ、可愛さなどの感情を抱いたはずです。

              そんなライオンの仔を想像します。親近感を持ちます。

              「狼ぐらいのおおきさです」とした場合とまったく違います。

           「やぎぐらいの大きさ」

              しまうまの赤ちゃんを「やぎ」にたとえています。

             やぎは比較的目にすることができる動物です。子どもたちは、大きさをイメージできますし、おとなしい、紙を食べる

            などを考えることでしょう。

 

          「一円玉ぐらいのおもさ」

            今までは、 動物の大きさを他の動物にたとえていましたが、今度は重さを物にたといています。

             「一円玉」は、常に目にしていますし、触ってもいます。その軽さの体験済みです。あんなに軽いものと同じ重さかと

            驚くことでしょう。

(2)  擬態法 

   ア 擬態語

     擬態語(ぎたいご)は、「様子」を表す時使います。「動作・様子」などを表す とき使います。

     ぐったりと、どんどん、ふわふわと、ぐんぐん、すいっすいっ、さっと、

   イ 擬音語

      擬音語(ぎおんご)は、「音」を表す時使います。ものごとを生き生きと表現 する効果や、また、ものごとに対し読み手が

     親近感を 抱く効果などの効果があります。

   ウ 擬声語

      擬声語(ぎせいご)は、「動物・人間」の鳴き(泣き)声」などを表す時使います。ものごとを生き生きと表現する効果や、

     ものごとに対し読み手が親近感を 抱く効果などがあります。

     

  学校では、擬音・擬声はカタカナを、擬態は平仮名を使うように教えています

(3) 擬人法

     人でないものを人格化し、人に例え読み手に対し、そのものに対して親近感を抱かせるやり方です。

     低学年では多く使われます。 「どうぶつの赤ちゃん」は、全体が擬人化されています。

(4)倒置法 

    文章は普通、主 語→目的語→述語 の順で記述されますが、この順序を逆転させ、目的語を最後に置きます。強調するために使

    われます。


    低学年では、あまり使われていません。

      ・ありが砂糖を見つけた。(通常)

      ・ありが見つけた、砂糖を。 (倒置法)
      ・さとうを見つけた、ありが。(主語も倒置した形)

5)反復法

   同じ言葉を何度も繰り返し(普通は2,3回)て、その言葉を強調する時使います。連続して反復する場合と、間隔を置いて反復す

   る 場合があります。

     ・高く高く、飛んでいった。

    

(6)  体言止め名詞止め)

     文の語尾に付ける動詞などを省 いて、強調させたり、余韻を残したい時使います。

     低学年では、あまり使われていません。

19  比較の思考

    私たちは、赤ん坊のころから比較して考 えるという思考方法を身につけ、その中で大きくなってきました。

    例えば、りんごが2個あるとします。どちらか好きな方をとり なさいといわれると、その2個を比べて自分がほしい方をとります。
    大きさ、色合いを比べて、大きくて色合いの好きな方をとり ます。りんごと柿があれば、自分の好きな方をとります。

    比較の思考は、どちらかというと根源的な思考方 法ということが出来ます。しかし、私たちは、これを思考方法というような意識で
    使っていません。無意識に使っているに過ぎま せん。

     この「比較の思考」を意識的に学習に使おうとするものです。

    「比較の思考」の用い方を体得すると、国語の学習が情緒的 ではなく論理的になってきます。論理 の上に立った情緒的な学習に
    なると、今まで感性の優れた子どもだけが得意な国語が誰でもある程度までは喜んで学習に取り組む ようになってきます。

     
  (1) 比較の観点と思考

         どんな観点から比較するのかということが鍵になります。

    <対 比>→対比して物事を見ることによっ て、物事がより明らかになり本質がうかびあがってきます。

    <類 比>→あ る観点から物事をずうっと見ていき、類似性や共通性と特異性が明らかになり、物事の本質が明らかにな

             ってきます。

    <反 復>→同 じ物事が読んでいくにしたがって変化、発展していくことです。そのために、イメージや意味が強調され

             説得性が強まります。

   (2) 比 較の対象

        なにが比較の対象になるかというとなんで も対象になります。

        書かれてある内容や 文章の構成(文、形式段落、意味段落、文章)、言葉などいっぱいあります。
    

   (3) どう比較するか

         「どうぶつの赤ちゃん」を例にします。

      何を比べるか。 基本的には、「どうぶつ」や「赤ちゃん」を比べます。

         ア ライオンとしまうまと、カンガルーのおかあさんと赤ちゃんを比べます。

         イ ライオンのおかあさんと赤ちゃんを比べます。

         ウ しまうまのおかあさんと赤ちゃんを比べます。

         エ カンガルーのおかあさんと赤ちゃんを比べます。  

      どんな観点で比べるか。

      「生まれたばかりのようす」と「どのようにして大きくなっていくか」という大きな観点ですが、これをさらに具体的にすると

       下記の表のようになります。

           生まれたばかりのようす       大きくなりかた
 大きさ 耳や目 にているか あるくか たべもの どのくらい  たべもの じぶんで
 ライオン 子ねこぐらい とじたまま にている
 よわよわしい
 あるけない おちち 2か月
   ~1年
 おちちとえもの えもの
 しまうま やぎぐらい あいている
 たっている
 そっくり たち、
 はしる
 おちち 7日ぐらい おちちと草 草
 カンガルー 1年玉ぐらい
 のおもさ
 どこにあるか
 わからない
 いくらか
 にている
 あるける
 はい上がる
 おちち 6か月 おちち 草

        こうして比較するといろいろなことが分かってきます。

        具体的には、「どうぶつの赤ちゃん」を参照してください。



20  筆者の工夫

  筆者は、対象学年の子どもた ちが興味を持って読み進めるためのいろいろな工夫を凝らしています。

    (1) 

       どんな題にしたら子どもたちの興味を引き・最後まで読んでくれるかを考えます。学年によって題・内容とも工夫されていま

       す。

            光 村 図 書           教 育 出 版
 1年生 じどう車くらべ      どうぶつの赤ちゃん はたらくじどう車
 2年生 たんぽぽのちえ     おにごっこ すみれとあり
 さけが大きくなるまで
  
 3年生 イルカのねむり方    ありの行列
 すがたをかえる大豆
 めだか        くらしと絵文字
 4年生 大きな力を出す      ウナギのなぞを追って アーチ橋の進歩  花を見つける手がかり
 5年生 生き物は円柱形     千年の釘にいどむ 言葉と事実     白神山地からの提言
 6年生 生き物はつながりの中に  言葉は動く 日本語をコンピューターで書き表す
 ぼくの世界、きみの世界

           2社を取り上げましたが、これは私の孫の学校で使っている教科書です。
        

   (2) 論の展開

       読んでもらうためにどういう順序で書けばいいのかを考えています。

   (3) 文末表現

        低学年では、敬体が、高学年や中学校では状態が使われます。

   (4) 例の内容・順序

        どんな例をどのような順序で述べたらいいかが考えられています。

        「どうぶつの赤ちゃん」では、ライオン、しまうま、カンガルーがとりあげられていますが他の動物でもよかったはずです。

        例えば、トラ、ぞう、パンダでもよかったはずです。ですが、筆者は、ライオン、しまうま、カンガルーを選んで書いていま

        す。

        また、ライオン、しまうま、カンガルーの順ですが、これも考えられています。カンガルー、ライオン、しまうまの順でしたらど

        うでしょう。考えてみてください。

   (5) 表現技法

        低学年では、比喩と擬人化が挙げられます。高学年では、擬人化は少なくなります。

   (6) 語句の使い方

       低学年では、子供たちが日常使っている言葉や目や耳にしている言葉、和語が使われています。

      高学年では、漢語や専門的な言葉が多くなります。 



   

21  筆者の感情・態度

     説明的文章には、そのことに対する筆者の感情、感動、態度が必ず含まれています。

    文、修飾語、助詞、文末表現、比喩などか ら、筆者の感情、感動、態度を探り、物事に対する見方、考え方を学んでいくのです。

     薬や道具、器具などの説明書には、筆者の感情などには入っていません。これらの説明文は、普通の説明文とは別です。

    筆者の感情・態度は、は直接表現されている場合と間接的に表現されている場合があります。

    同じ物事を表す時に、なんという 言葉で表現するかということ です。

    例えば、「チチオヤ」を「父、父親、お父さん、父さん、パパ、おやじ」などと呼びますが、どの言葉を使うかによってその 人物とチチ

    オヤとの関係や気 持ちがが推測できます。

    また、間接的に表現されている場合 は、修飾語に筆者がどんな言葉を使っているかで分かます。

    そのことに好意を持っていればプラスイメージの言葉を使い、好意を 持っていなければマイナスイメージの言葉を使っています。

     プラスイメージの言葉とは、誰もがいい感じを持つ言葉のことです。

    例えば、「きれいな花」と「みすぼらしい花」では、その人物 がその花に対してどんな感情を持っているか分かります。


22  筆者の願い

   こ れは高学年の作業です。教師でもなかなか面倒なのです。ですから、簡単な教材(低学年の教材)を使って訓練する方が 

   効率的です。

   どの説明文にも、筆者の願いがこめられています。筆者は、その願いを子どもたちに伝えたくて書くのです。そして、子供たち

   がその願いを受け止めて、やがて発展させてくれることを託しているのです。






 

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