「大造じいさんとガン」    5年 光村図書


 1 学習訓練

 2 授業の流れ

 3 比較の思考を柱にした授業
 


  準備するもの

1 教材(教科書) 

  鉛筆で書き込んだり、蛍光ペンで塗ったりしますので、コピーをしたほうがいいでしょう。教師によっては書き 
  込みを嫌う人もいます。

  手元になければ、大きい図書館では、各社の教科書を展示していることがあります。それからコピーします。

  また、図書館でなければ、教科書の出版社で面倒を見てくれると思います。

2 蛍光ペン 2本

  基本的には何色でもかまいませんが、ここではピンクと黄色を選びました。


 

 この教材は、次の4社が何れも5年生の教材として採用しています。
 椋鳩十の作品ですが、教科書によって違っています。

          1 題
            教育出版  大造じいさんとがん 
                         東京書籍  大造じいさんとがん
                       
            三省堂    大造じいさんとガン
               光村図書  大造じいさんとガン
       2 前書きの有無
            教育出版     
                         東京書籍  無
                       
            三省堂     
               光村図書  


 この作品は、前書きの有無によって中心人物の人物像が違ってきます。前書きがないと、大造じいさんという呼称のみですから、正確な人物像は浮かんできません。
 したがって、本稿は、光村図書の教科書をテキストにしました。

 次に、その前書きの部分を掲載します。 


 
  知り合いのかりゅうどにさそわれて、わたしは、イノシシがりに出かけました。
 イノシシがりの人々は、みな栗野岳のふもとの、大造じいさんの家に集まりまし  
  た。じいさんは、七十二さいだというのに、こしひとつ曲がっていない、元気な老か りゅうどでした。そして、かりゅうどのだれもがそうであるように、なか なか話し上手 の人でした。血管のふくれたがんじょうな手を、いろりのたき火にかざしながら、そ れからそれと、愉快なかりの話をしてくれました。その話 の中に、今から三十五、  六年も前、まだ栗野岳のふもとのぬま地に、ガンがさかんに来たころの、ガンがり の話もありました。わたしは、その折の話を土 台として、この物語を書いてみまし  た。
  さあ、大きな丸太がパチパチと燃え上がり、しょうじには自在かぎとなべのかげ  がうつり、すがすがしい水のにおいのするけむりの立ちこめている山家のろばた を想像しながら、この物語をお読みください。



 この序章とでもいう部分は、物語の基本的な方向を示しています。

      1 この物語は、語り手である「わたし」が、イノシシ狩りに行ったとき、大造じいさんから仲間と一緒に聞いた話を基にしてい         る。

      2 大造じいさんは、「かりゅうど」である。

        註 かりゅうどと(狩人)とは、「野生のけものや鳥をつかまえることで生活をたてている人」である。
                                                (例解新国語辞典 三省堂)

      3 大造じいさんは、この時72歳である。
   
      4 物語は、大造じいさんが、37歳か38歳の時のことである。

      5 語り手は、「山家の炉辺を想像しながら読んでほしい」といっている。

 この前提があるのとないのとでは、文中の大造じいさんをイメージするのに大きな違いが出てきます。

 ですから、この部分が掲載されている光村図書の教材をテキストにして考えていきます。




 1 学習訓練
 

 <基礎段階>

0 題を読んで考える。
 

    大造じいさんとガンのことが書いてある。人間と鳥の交流が書いてある。などどんなことでもいいのです。

    題の下に鉛筆で簡単にメモします。単語だけでいいです。

    いろいろな考えがあっていいのです。どれが間違いということはありません。

    自由な発想をする習慣ををつけるようにしたいものです。

 1 全文を通読する。  

      原則は、黙読です。

      通読しながら、読めない漢字や意味の分からない言葉に鉛筆(後で消すため)で印(簡単なものを自分で決め

     ていい)をつける。

      読めない漢字には、聞いたり教材文の欄外を参考にして仮名を振る。読めるようになったら消す。

 2 初読の印象を話したり、書いたりする。

     どんな感じ(おもしろかった、つまらなかった)がするか。中心人物は誰か(好きだ、嫌いだ)。

     長く書くのではなく、5分くらいで、5行程度書ければいいです。

     もちろん、書きたい子には与えられた時間内であればいくら長くてもいいのです。

 3 題を手がかりに何のことが書いてあるか考える。 

     読まないうちに0で予想したことと比べる。

     今度は全文を読んでいるので、題だけ読んだときとは違い、多少詳しく答えることが出来ます。

     大造じいさんと残雪が戦ったこと。残雪を捕まえたが放してやったこと。など

 

 4 語り手が誰か考えてみる。

       前書き(序章)で、はっきりしている通り、「わたし」です。「わたしは」、イノシシ狩りをするくらいですから成人です。狩の好きな

     男の人物です。語り手である「わたし」は、大造じいさんに寄り添ってこの世界を見ています。
    


 5 視点人物は だれか。カメラの位置はどこか。

       視点人物は、大造じいさんです。

     
カメラは、大造じいさんの傍にあります。時には、大造じいさんの目と重なっています。

     また、3の場面で一時残雪と同じになります。

 

 6 重要語句を指摘し、蛍光ペンで塗る。 

 

  (1) 題にある言葉

            「大造じいさん」(ピンク)と「ガン」(黄色)です。

  (2) 題にある言葉に関係する言葉

      じいさん

        残雪、英雄、おまえ、えらぶつ、

        おれたち

  (3) 頻出語句 

       ぬま地  

         人間(ピンク)  頭領(黄色)

 7 文末表現を指摘する。 

      文末表現だけを見ていくのです。敬体の過去形が大部分ですが、中には現在形の文も混じっています。

      語り手の説明部分→2の場面 らしいのです。3の場面 だったのです。残雪です。さるものです

      臨場感を持たせるため→飛び去っていきます。 飛びおくれたのがいます。 

 8 物語の三要素を明らかにする。

   (1) 場面

      ア 時

         過去 

         3年間は、秋の日中

         4年目は、春の朝 

          

      イ 所

         3年間は、栗野岳のふもとのぬま地   地上と空中

         4年目は、大造じいさんの庭


   (2) 登場人物を 書き抜く。

      大造じいさん、残雪、おとりのガン、ハヤブサ


  (3) できごと(どうして、どうなった)

        猟師である大造じいさんがガンの頭領らしい残雪を捕まえようといろいろ工夫したが、ついに捕まえることができなかった。

       しかし、3年目の時仲間を救おうとしてハヤブサを戦い傷ついた残雪を捕らえることができた。残雪の傷を手当してやった大

       造じいさんは、翌年の春残雪を放してやった。

 9 会話文の上に誰が言っているかを書く。

      脚本のように書くのです。

     大造じいさんの言ったことしかありませんからこの教材では必要ありません。

10 大きく幾つ(幾つの場面)に分かれるか考える。

      本文に示されています。序章を別にして4つの場面に分かれています。

      

11  どの場面が山場か予想する。

      3の場面という考えと4の場面という考えがあります。

12 場面ごとに、誰がどうしたかを簡単にまとめる。

      各場面ごとに、1~行でまとめます。

       1の場面→秋、残雪が仲間を率いてやってきた。大造じいさんは、「ウナギつりばり作戦」を考えて成功。たが、1羽だけ。

       2の場面→秋、大造じいさんは、「タニシばらまき作戦」を考えたが、失敗。

       3の場面→秋、大造じいさんは、「おとり作戦」を考えたが、失敗。ハヤブサと残雪との戦いの結果傷ついた残雪を捕らえた。

       4の場面→春、大造じいさんは、元気になった残雪を放してやった。

13 場面ごとに、小見出し (小さな題)をつける。

      いろいろな考えがあっていいです。中心的なことをまとめる力を養います。

       1の場面→ウナギつりばり作戦。 1回目の戦い。 1回目の対決。

       2の場面→タニシばらまき作戦。 2回目の戦い。 2回目の対決。

       3の場面→おとり作戦。       3回目の戦い。 3回目の対決。

       4の場面→残雪を放す大造じいさん。  呼びかける大造じいさん。  いつまでも見守る大造じいさん。

14 挿絵にタイトルをつけてみる。


      いろいろな考えがあっていいです。中心的なことをまとめる力を養います。

        P103→先頭に立つ残雪

        P105→釣り針を飲みこんだガン

        P109→暁の沼地

        P110→呆然とする大造じいさん

        P115→ガンを襲うハヤブサ

        P117→大造じいさんをにらみつける残雪

        P118→一直線に飛び立った残雪

15 挿絵に表現されている教材文の範囲を考える。

 

      ちょっと思考の段階に入りますが、挿絵の場面が文章のどこからどこまでか考えてみてください。

   

16 中心人物とそれを支える人物を指摘する。


      中心人物は、大造じいさんと残雪です。主人公は、大造じいさんです。

      支える人物は、ハヤブサとおとりのガンです。

17 中心人物の呼称の変化を書き抜く。

 場面    大造じいさんの呼称
    (語り手の視点)
      ガンの呼称
     (語り手の視点)
  題 大造じいさん   ガン(ガンという鳥全体)
  1 大造じいさん  じいさん 残雪 ガン
  2 大造じいさん 残雪→かれ ガン
  3 大造じいさん じいさん 残雪→残雪め(大造じいさんの視点) ガン
  4 大造じいさん じいさん 残雪→英雄、おまえ、えらぶつ(大造じいさんの視点)
 →おれたち(大造じいさんの視点) ガン

       

 

 <整理段階>

     次のような表に記入します。


 場面   時   所  中心人物   支える人物
 1 1年目の秋 ぬま地 大造じいさん 残雪
 2 2年目の秋 ぬま地 大造じいさん 残雪
 3 3年目の秋 ぬま地 大造じいさん 残雪 おとりのガン  ハヤブサ
 4 4年目の春 大造じいさんの家 大造じいさん 残雪


 <イメージ段階> 
 
 1 物語の世界を自分のテレビに映し出してみる

      事前に「自分のテレビ」のつけ方、映し方を教えておきます。

       ・目をつぶってお母さんの顔を映してごらん。こっちを向いていますか。横を向いていますか。
       ・ニコニコ笑っていますか。怒っていまあすか。
       ・ここは玄関です。朝です。あなたが学校へ行くところです。
       ・今度は画面が切り替わります。お母さんのほうから見た画面になります。
       ・あなたの姿が映ります。どんな服を着ていますか。ランドセルを背負っていますね。洗濯をした給食袋も持っていますね。
       ・「行ってきます」といって向きを変えて走っていきました。だんだんあなたの姿が小さくなっていきます。

      どうです。あなたのテレビはしっかり映りましたね。

     今度は、このお話の世界を写してみましょう。


 場面、カメラの位置(視点人物)、背景、人物、ものなどを考えます。また、それらの移動の様子、 
 音などを映し出します。

   1の場面のはじめだけ映してみましょう。

     挿絵は、地上から見たものです。語り手は、ぬま地の近くにいて空を見ています。カメラは、人間の目の高さにありガンの来る方
    を見ています。ですから、沼の大正部分と遠くにこちらに向かってくるガンの群れが描かれているのです。これは、挿絵を描いた     金子恵さんの解釈です。

      私はちょっと違います。私のカメラは、空中にあり、残雪の目に寄り添っています。金子さんとはまったく違います。正反対の位      置にカメ ラがあります。なぜ、私がカメラが空中にあると考えたかというと、それは、本文には、「残雪は」とあって「残雪が」とは     書いてありません。です から、わたしは、語り手が残雪の傍にいて説明していると考えたからです。
      金子さんが間違っているのではありません。この挿絵は、この 場面の導入としては当然のものです。金子さんとわたしの違い     は、写真と動画の違いなのです。金子さんはある場面を切り取って子どもたちに沼地と ガンをイメージさせなければなりません。     私の場合は、動画ですから連続しています。

      地上が映ります。いい天気で す。遠くに沼地が小さく見えてきました。だんだん大きく見えてきます。画面が切り替わり、残雪の     羽ばたいている姿が映ります。左右の翼の真っ白 い毛がアップされます。ぐんぐん沼地が近くなり、やがてガンの群れは、沼地     に降り餌をついばみ始めます。

  
 2 プラスイメージとマイナスイメージについて考える。

     この物語には、マイナスイメージの人物はいません。敵役であるハヤブサにもマイナスイメージの描写はありません。

     残雪は、プラスイメージの言葉で描写されています。頭領、りこうなやつ、堂々たる態度、いげんなど。



 3  中心人物の気持ちが書いてある文を指摘する。

       大造じいさんの会話文の中には気持ちが描かれています。

       残雪の気持ちは、語り手の説明の中に描かれています。




<思考段階>
 



 1 中心人物の人物像を考える。
 
      大造じいさん→壮年の狩人。粘り強い。工夫する人。相手を認める人。

      残雪→ガンの頭領。仲間を助けるため自分を犠牲にできる。



 2 考えの変わった人物はだれか、考えの変わらない人物はだれかを考   える。

       考えの変わった人物→大造じいさん

       考えの変わらない人物→残雪

 3 中 心人物の考えや気持ちがどう変わったかを考える。

    大造じいさん→鳥というものを馬鹿にしていたが、残雪との戦いや残雪の野生を失わない態度に感心して、残雪に対する考え

               を変え、対等の「おれたち」と変わっていった。

     残雪→自分たちの生存を脅かすもの(人間やハヤブサ)から身を守るためにかなわぬまでも全力で戦うという本能を失わない。


 4 中心人物とそれを支える人物の関係がどう変わったかを考える。

     大造じいさんと残雪→狩るものと狩られるものという関係は、永久に変わらない。

       大造じいさんとおとりのガン→はじめは、狩るものと狩られるものという関係であったが、後に飼うものと飼われるものという

                          関係に変わっていった。


 5 読者を物語の世界に引き込むための作者の 工夫をまとめる。
 
       呼称の変化が劇的であり、大造じいさんの心境の変化に対応している。

      大造じいさんの人物像を想像させるために文語的表現や漢語をを多用している。

        1の場面→形跡 いじょうなし、感嘆の声をもらす、今さらのように

        2の場面→案の定、形跡、思わぬごちそう、会心の笑み、かなたの空、近づかぬがよいぞ、してやられて、

        3の場面→出水、真一文字に、ひとあわふかせてやるぞ、一直線、救わねばならぬ仲間、不意を打たれてむな元、
               さるもの、じたばたさわぎません、最後の時、いげん、きづつけまい、

        4の場面→快い羽音一番、一直線、らんまんんと咲いた、

      比喩表現


        子どものように声を上げて、白い花弁のように、雪のように清らかに

     
その日の状況の描き方

       1の場面→秋の日が、美しくかがやいていました。

       2の場面→あかつきの光が、小屋の中にすがすがしく流れこんできました。

       3の場面→東の空が真っ赤に燃えて、朝が来ました。

       4の場面→ある晴れた春の朝でした。 


 6  気に入った部分を見つける。
 
      どこでもいいのです。自分が好きな部分を見つけることが大事です。次に、なぜそこが好きかをを考えるのです。


 7 主題や願いについて考える。

      主題 最後まで野生を失わなかった残雪に対する共感と残雪をいたわり放してやった大造じいさんの度量     

      願い 人間(自分)らしい生き方をしてほしい。
          他を認めれる人間になってほしい。

      主題や願いをどうとらえるかは、読み手によって多少の違いがあって当然です。ある方向性が同じであれば、幅があってもい      いのです。このような表現でなければならないということはありません。


<発展段階> 


 1 自分の感想を持つ。 中心人物に手紙を書く。

     物語全体、出来事、中心人物、主題、情景、作者の工夫など。
 

 2 発展読書をす る。……読み聞かせ、集団読書、個人読書 

      似たような主題の本、考えを広げる本、同じ作者の本など。

 3  気に入った場面をイラストや絵に描いてみる。

     絵が得意な子にはいいです。不得意な子には強制しないこと。


 4 簡単な物語などを書いてみる。
 
       続き話、場面と場面 の間の話、人物への手紙、創作、詩など。これも得意な子にだけ。

 5 部分や全体を劇にして演じてみる。







2 授業の流れ


 1 目標

   私がこれまでに接した授業案から目標を列記してみる。
 
   <価値目標>
 
     1 残雪の仲間を守ろうとする知恵と、仲間を救うために身の危険を顧みずに戦う勇気に強く心を動かされた大造じいさんの人       間味あふれる姿や温かい心に感動することができる。

     2 頭領らしい残雪の知恵と勇気に心を打たれる大造じいさんの人間味あふれる姿を通して、美しいもの、正しいものに感動す       る心をもたせる。

     3 大造じいさんとガンの頭領である残雪との闘いを通して、心が変容していく大造じいさんの人間らしい温かさに感動する心を       培う。

     4 仲間を助けるためにハヤブサと戦う頭領としての残雪に深く感動し、自分の考えを変えていく大造じいさんの人物像を読み       取ることができる。

     5 ガンの頭領残雪に繰り返し挑む大造じいさんの狩人としての誇りと、美しいもの、素晴らしいものに感動する純粋さ、人間性       を読み取る。

     6 大造じいさんの残雪に対する気持ちが、憎むべき敵から好敵手へ、さらに、尊敬すべき人格と認めるまで変化していくことを       読み取り、勇敢な残雪や大造じいさんの男らしい姿に感動して読むことができる。

     7 「たかが鳥」から「ガンの英雄よ」に変わっていく大造じいさんの変容を読み取ることができる。

     8 大造じいさんと残雪の行動を対比的に読み、大造じいさんの狩人としての誇りと執念、残雪の頭領らしい勇気と責任感を読        み取ることができる。



  <技能目標>

     ・場面の移り変わりの中で人物の関係や気持ちの変化を読み取り、作品の主題を考え、感想を深めることができる。

     ・物語の構成や巧みな情景描写、心情表現など物語を支えている表現も物語を読むおもしろさであることに気付くことができる。


  <言語目標>

     ・文末表現や人物の動きの表現に注意して読み、状況に応じての適切な表現の仕方を理解し、自分の表現にも生かすことがで      きる。

     ・修飾語の役割に気付かせるとともに、慣用的な表現、文末表現の工夫について理解する。

     ・擬声語、擬態語、色彩語などの表現効果について考えることができる。



2 <読取り部分の学習計画> 6時間扱い

     1 大造じいさんの人物像のおおよそををとらえ、物語の背景をつかむ。(全文)
     2 第1の方法(ウナギつりばり作戦)とその結果について(第1章)
     3 第2の方法(たにしばらまき作戦)とその結果について
(第2章)
     4 第3の方法(おとり作戦)とその結果について(第3章前半)
     5 感動する大造じいさん(第3章後半)
     6 呼び掛ける大造じいさん(第4章)


3 <読取り部分の展開>


1時目  大造じいさんの人物像をとらえ、物語の背景をつかむ。(全文対象)

          見たことがありません。          
  

2時目  第1の方法(うなぎつりばり作戦)とその結果について(第1章)

          見たことがありません。


3時目  第2の方法(たにし作戦)とその結果について(第2章)   

<目 標>  言葉もでなくなるほど感動する大造じいさんの残雪に対する気持ちを読み取ることができる。

<展 開>

1 前時の学習を想起する。
  ・大造じいさんは、どうして「ううむ」と感嘆の声をもらしたのですか。
2 学習課題を確かめる。
   大造じいさんが、「ううん」とうなった気持ちを考えよう。
3 本時の学習場面を音読する。
  ・大造じいさんの気持ちが表れている文を見付けながら読みましょう。
4 本時場面を詳しくよむ。
(1)待っている大造じいさんの気持ちを読み取る。
   ・大造じいさんの気持ちが表れている文を発表する。

   ・視写する。
   ・「会心のえみをもらす」とは、どんな意味ですか。
   ・なぜ、会心のえみをもらしたのですか。
(2)ガンの群れを見た大造じいさんの気持ちを読み取る。
   ・「しめたぞ……目にもの見せてくれるぞ」の部分から、大造じいさんのどんな気持ちが分かりますか。
   ・大造じいさんの気持ちが、緊張して高ぶっていることが分かるところを見付けよう。
   ・どうして、ほほがびりびりするほど緊張したのですか。
   ・「あかつきの光が、……引き締まるのでした」まで、音読の工夫をする。
(3)また、失敗してしまった大造じいさんの気持ちを読み取る。
   ・ところがどうなったのですか。
   ・「ううん」とうなった気持ちについて書いてみよう。 前回と対比
   ・発表する。
5 学習のまとめをする。
   音読する。 大造じいさんの気持ちを考えながら読む。
6 次時の予告をする。
  


4時目  第3の方法(おとり作戦)とその結果について
(第3章前半)
  
<目 標>  おとりを使った作戦に自信をもつ大造じいさんの様子から、残雪に対する気持ちを読み取ることができる。

<展 開>

1 前時の学習を想起する。
  ・タニシをばらまいた作戦の結果は、どうでしたか。
  ・大造じいさんは、どんな気持ちになったのですか。
2 学習課題を確かめる。
   おとりのガンを使って、今度こそ残雪とらえようとしている大造じいさんの気持ちを考えよう。
3 本時の学習場面を音読する。
  ・大造じいさんの気持ちの分かるところに気を付けて読みましょう。
4 本時場面を詳しくよむ。
(1)3年目の戦いであることを読み取る。
   ・「今年もまた」とありますが、「もまた」というところからどんなが分かりますか。
   ・1の場面、2の場面の書き出しの違いから、どういうことが分かりますか。
   ・残雪が来たのが分かる文はどれですか。
(2)大造じいさんの作戦について読み取る。
   ・今年は、どんな作戦を立てましたか。
   ・大造じいさんの期待や自信が分かるところはどこですか。
   ・今年こそ残雪をとらえてやろうという気持ちが表れているところに線を引く。
   ・視写する。
   ・大造じいさんの強い気持ちが表れているところは、どこですか。
   ・「どうしたことだ」とは、なにが起こったのですか。
5 学習のまとめをする。
   音読する。 大造じいさんの高まっていく気持ちが表れるように読む。
6 次時の予告をする。




5時目 感動する大造じいさん(第3章後半)

5時目の1  感動する大造じいさん

<目 標> おとり作戦の場面から、大造じいさんの気持ちを読み取ることができる。

<展 開>

1 前時の学習を想起する。
  ・おとり作戦とは、どんな作戦ですか。
  ・なにが出てきたのですか。ハヤブサ
2 学習課題を確かめる。
   大造じいさんは、なぜ、残雪をうたなかったのだろう。
3 本時の学習場面を音読する。
  ・大造じいさんの様子に気を付けて読みましょう。
4 本時場面を詳しくよむ。
(1)残雪について話し合う。
   ・あなたたちなら、どんな残雪といいますか。
   ・どの部分からそう思ったのか書きなさい。
   ・どんな残雪というか。訳もいって発表しましょう。
   ・残雪はどう思ったのですか。分かる文に線を引く。
   ・今までの書き方と違っていますね。
      視点の転換  大造じいさんから残雪へ
(2)戦いの様子を見ていた大造じいさんについて考える。
   ・大造じいさんは、どうしましたか。
   ・どうして、銃を下ろしてしまったのですか。
5 学習のまとめをする。
   ・こんな残雪や大造じいさんに何と言いたいですか。書きなさい。
   ・発表する。
   ・音読する。 大造じいさんの気持ちが表れるように読む。
6 次時の予告をする。

               
5時目の2  感動する大造じいさん

<目 標> 残雪とハヤブサの戦いを通して、大造じいさんが残雪の行為に感動し、変容していく姿を読み取ることができる。

<展 開>

1 前時の学習を想起する。
  ・銃身を握りしめながら、大造じいさんは、どんなことを考えていたのですか。
2 学習課題を確かめる。
   大造じいさんは、残雪のどんな様子に強く心をうたれたのですか。
3 本時の学習場面を音読する。
  ・大造じいさんがいったこと、したことを7つ探しながら読みましょう。
4 本時場面を詳しくよむ。
(1)大造じいさんの行動と気持ちの変化について読み取る。
   ・大造じいさんがいったこと、したことを発表してください。
   ・大造じいさんの気持ちが変わったと分かるのはどれですか。
   ・大造じいさんは、なぜ、銃を下ろしてしまったのですか。
   ・激しい戦いの様子がどこから分かりますか。
   ・大造じいさんは、それを見てどう思ったのでしょう。
(2)強く心をうたれた大造じいさんの気持ちを読み取る。
   ・残雪の様子が分かる部分を視写する。
   ・大造じいさんは、残雪のどんな様子に強く心をうたれたのですか。
   ・大造じいさんは、今、残雪をどんなふうに思っているでしょうか。
(3)大造じいさんの気持ちの流れをまとめる。
   ・心情曲線で表す。
5 学習のまとめをする。
   ・今日学習したことについて感想を書く。
   ・発表する。
   ・音読する。 大造じいさんの気持ちが表れるように読む。
6 次時の予告をする。

5時目の3  感動する大造じいさん

<目 標> 残雪の仲間を助けようとしハヤブサと戦う姿、死を覚悟した後も毅然としている姿に触れ、心から感動している大造じいさ         んの気持を読み取ることができる  。

<展 開>

1 前時の学習を想起する。
  ・大造じいさんの気持ちの表れている言葉は、何ですか。
2 学習課題を確かめる。
   ただの鳥に対しているような気がしなかったのは、どうしてだろう。
3 本時の学習場面を音読する。
  ・2つに分ける境目を探して読みましょう。
4 本時場面を詳しくよむ。
(1)残雪が戦っている場面を簡単な配置図に書く。個人作業
   ・人物の配置
       大造じいさん、ハヤブサ、おとりのガン。
   ・動き
     ハヤブサ、おとりのガン。
   ・大造じいさんの心情
     初め  途中     
(2)ハヤブサと残雪の戦いの様子を読み取る。
   ・ハヤブサ
   ・残雪
(3)残雪について話し合う。
   ・残雪の姿が表現されているところを視写する。
   ・書き込みをする。
   ・話し合う。
(4)大造じいさんの気持ちを書く。
   ・ただの鳥に対しているような気がしなかったのは、なぜか。

5 学習のまとめをする。
   ・視写文を音読する。 
6 次時の予告をする。


6時目 呼びかける大造じいさん

6時目の1  呼びかける大造じいさん              

<目 標> 北へ北へと飛び去っていく残雪を見守っている大造じいさんの気持ちを読み取ることができる  。

<展 開>

1 前時の学習を想起する。
  ・大造じいさんは、残雪をどんな鳥だと思っているのでしょうか。
2 学習課題を確かめる。
   どんな気持ちで大造じいさんは、飛び去っていく残雪をいつまでもいつまでも見守っていたのだろう。
3 学習場面を音読する。
  ・大造じいさんがいったことをよく考えながら読みましょう。
4 本時場面を詳しくよむ。
(1)残雪が檻から出るまでの様子を読み取る。
   ・冬の間、大造じいさんと残雪がどうしていたか想像してみよう。
   ・「いっばいに開けてやりました」という言葉から、大造じいさんのどんな気持ちが感じられるだろうか。
   ・周りの様子はどうですか。
(2)残雪に呼びかけている大造じいさんの気持ちを考える。
   ・呼び掛けている文を視写する。
   ・感じた事を書く。
   ・発表して話し合う。
(3)飛び去る残雪を見守る大造じいさんの気持ちを読み取る。
   ・どうして、晴れ晴れとした顔付きで見守ることができたのだろう。
   ・どんな気持ちで、いつまでもいつまでも見守っていたのだろう。
5 学習のまとめをする。
   ・今日、学習したことの感想を書きましょう。
   ・残雪に呼び掛けている大造じいさんの気持ちが分かるように音読する。 
6 次時の予告をする。


6時目の2  呼びかける大造じいさん              

<目 標> 残雪を大空に放してやり、「またどうどうと戦おうじゃないか」と呼び掛けながら、何時までも何時までも見守っている大造じ        いさんの気持ちを読み取る。

<展 開>

1 前時の学習を想起する。
  ・大造じいさんは、残雪に対して、どうしてただの鳥に対しているような気がしなかったのですか。
2 学習課題を確かめる。
   大造じいさんは、どんな気持ちで残雪を空へ話してやったのだろう。
3 学習場面を音読する。
  ・大造じいさんがの気持ちを考えながら読みましょう。
4 本時場面を詳しくよむ。
(1)残雪を空へ放してやる様子を読み取る。
   ・大造じいさんは、どうしましたか。
   ・「いっばいに」の「に」から、大造じいさんのどんな気持ちが感じられますか。
   ・「突然に広がった世界」とは、どういうことですか。
   ・残雪は、どの様に飛び上がっていきましたか。
(2)残雪に呼び掛けている大造じいさんの気持ちを考える。
   ・呼び掛けている文を視写する。
   ・感じた事を書く。
   ・発表して話し合う。
(3)飛び去る残雪を見守る大造じいさんの気持ちを読み取る。
   ・どんな様子で見守っていますか。
   ・いつまでもいつまでも見守っていた大造じいさんの気持ちを書く。
5 学習のまとめをする。
   ・今日、学習したことの感想を書きましょう。
   ・残雪に呼び掛けている大造じいさんの気持ちが分かるように音読する。 
6 次時の予告をする。


6時目の3  呼びかける大造じいさん              

<目 標> 大造じいさんの残雪に対する考えの変化を読み取る。

<展 開>

1 前時の学習を想起する。
  ・大造じいさんは、残雪に対してどのな鳥だと思っていたのだろう。
    たかが鳥  ただの鳥に対している気がしない
2 学習課題を確かめる。
   大造じいさんの残雪に対する考えは、どう変わっていったか。
3 学習場面を音読する。
  ・大造じいさんがの考えが変わったと分かる言葉を見付けながら読む。
  ・予想を発表する。
     ガンの英雄よ、おまえ、えらぶつ、おれたち
4 本時場面を詳しく読み取る。
(1)どの様に変わったかを考える。
   ・前は、残雪をどう思っていたか発表する。
       たかが鳥、一晩立てば、鳥類の中で、
   ・どの様に変わったか。対比する。 対等の関係
      ガンの英雄よ、おまえ、えらぶつ、おれたち
(2)大造じいさんの考えを変えさせたのはなにか話し合う。
   ・大造じいさんの考えを変えさせたのはだれだろう。
   ・ハヤブサと戦った残雪
   ・大造じいさんに対する残雪
   ・おとりのガンと残雪       小屋と檻
   ・発表して話し合う。
(3)大造じいさんの心情を反映している表現を指摘する。
   ・いっぱいに、晴れた日、快い羽音一番、らんまんと咲いた
(4)かわらないものはなにか。
    大造じいさんと残雪の関係、狩るものと狩られるもの
5 学習のまとめをする。
   ・大造じいさんの変化をまとめ、感想を書く。
   ・音読する。 
6 次時の予告をする。






 3  比較の思考を柱にした授業


<比較で考えられる事項>

     比較では、いろいろなことが考えられます。思いついたことを述べていますが、とても全部は

     授業で取り上げ切れません。

     どれを取り上げて指導するかは、子どものレデネスと指導者の好みでいいと思います。この

     作品で総ての言葉を指導するわけ

    ではありません。中学校までの間にいろいろな作品で指導していくことを頭においてください。

    楽になります。


     大造じいさんの前と後

    
  変わらないこと

        猟をするということに対しては同じである。猟をするということは、獲物をとることである。獲物の命を奪うということである。
        大造じいさんは、今までも相してきたしこれからも獲物をとって暮らしをたてていく。

       変わったこと

        ガンに対する考えが変わった→「たかが鳥」から「たいしたちえをもっている」と変わった。
        残雪に対する考えが変わった。→なかなかりこうなやつだが、ガンを取れなくなったのでいまいましいと思っていた。
                             だんだん感心するようになってきた。「ううむ」、「ううん」
                             ハゲタカとの戦いや自分(人間)に対する態度、冬中の態度に感動して、「英雄、えらぶ
                             つ」と呼ぶようになり、さいごは、「おれたち」といって対等の関係と思うようになった。ら

       残雪が来る前と後

        
来る前は、ガンをとって生活していた。ガンを撃ちそれを売って生活していた。ガンを殺していたのである。
                もっとも他の動物も獲っていた。
         来てからは、ガンを獲ることはできなくなった。当然、収入が減った。したがって、「いまいましく」思っていた。


     残雪の前と後

         変わっていない。野生を失わない。
         可能な限り敵や危険な状態を避ける。主要な敵は猟銃を持っている人間である。
         仲間を救うために戦いを挑む。
          1の場面→油断なく気を配っていて、りょうじゅうのとどく所まで、決して人間を寄せ付けませんでした。
          2の場面→様子の変わった所には、近づかぬがよいぞ。
          3の場面→玉のとどく距離の三倍もはなれたところ。
                 人間もハヤブサもありませんでした。
                 正面からにらみつけました。
          4の場面→檻の中で、一冬をこしました。
                 一直線に空へ、北へ北へと飛び去っていった。

    おとりのガンの前と後

       野生のガンであったが、大造じいさんから餌をもらっている間に野生を失い、危険な状況を判断できずに引き返していまっ        た。

    大造じいさんの3度にわたる作戦

     作戦名    手  段    結  果
 1年目  ウナギつりばり作戦  ウナギをつけたつりばり  一羽捕獲
 2年目  タニシばらまき作戦  タニシをばらまく  一羽も捕獲できない
 3年目  おとり作戦  おとりのガンを使う  傷ついた残雪保護
 4年目  不明  知恵を絞る  不明 


    大造じいさんと残雪

         人間と鳥
         猟師と獲物→生活のため獲物がほしい。
         対等ではない。狩るものと狩られるもの
         生きることを追求するという点では、同じ。
         絶対的強者(襲う)と絶対的弱者(逃げる)

    残雪とハヤブサ

         狩るものと狩られるもの
         絶対的強者(襲う)と絶対的弱者(逃げる)
         生きる→えさがほしい
         人間が敵。 
       
    おとりのガンと残雪の違い

         おとりのガンは、野生を失ってしまった。残雪は、手当てをしてもらい餌ももらったが、野生を失わない。

    小屋とおり

       小屋→比較的自由。比較的広い

       おり→出ようとするものを閉じ込めておく。

    視点の違いによって  

       残雪からみると大造じいさんとハヤブサは同じ→生存を脅かす敵

       ハヤブサから見るとガンは生きていくための獲物、大造じいさんは敵

       大造じいさんからみるとガンもハヤブサも生きていくための獲物→ガンの方が価値が高い。 


    描かれていないことを想像する

       1の場面の前→大造じいさんは、秋になりガンが来ると、撃って収入を得ていた。沼地はいい猟場であった。

         1の場面と2の場面の間(冬→春→夏)→他の動物をとりながら、ガンに餌を与えていた。

        2の場面と3の場面の間(冬→春→夏)→
他の動物をとりながら、ガンに餌を与えていた。

       3の場面と4の場面の間
(冬→春)→他の動物をとりながら、残雪に餌を与えていた。

       4の場面の後(夏)→他の動物を取りながら、秋になって残雪が仲間を率いてくるのを待っていた。



<授業の流れ>

 この授業は、どの時間も全文を対象にしています。

 ある程度訓練された子どもたちを想定して考えたものです。

 事前に必要なことは訓練してください。

 普通の授業をした後にある部分だけを使って授業し、訓練するのもいいと思います。


                 
1 指導計画と主な指導事項 (10時間扱い)     

<1時間目> 全文対象

          事前テスト、全文通読、初読の感想

<2時間目> 全文対象

          単元の目標、題、全文通読  新出漢字、読み替え漢字の読み
          意味不明の語句の指摘、文章構成の把握(前書き、4場面)
          三要素の指摘(時、所、人物)、どこが山場か。
          語り手、視点人物(内面)、対象人物(外面)

<3時間目> 前書き、1~2場面対象

          通読、小見出しの設定、人物と事件、出来事の把握、粗筋を書く
          イメージ化のため(修飾語、比喩)、イラスト
          挿絵と本文の呼応、挿絵のタイトルをつける。
          プラスイメージ、マイナスイメージ

<4時間目> 3~4場面対象

          通読、小見出しの設定、人物と事件、出来事の把握、粗筋を書く
          イメージ化のため(修飾語、比喩)、イラスト
          挿絵と本文の呼応、挿絵のタイトルをつける。

<5時間目> 1~4場面対象

          出来事の把握、時制(文末表現)……臨場感、 情景と心情
          中心人物の心情の把握。(直接、間接) 中心人物の行動の把握。
          中心人物と主人公、イメージ化のため(修飾語、比喩)、イラスト

<6時間目> 1~4場面対象

          考えの変わった人物と変わらない人物
          イメージ化のため(修飾語、比喩)

<7時間目> 4の場面対象

          大造じいさんの考えの変化。変わったことと変わらないこと、
          呼称の変化、反復の効果、、情景描写と心情、人物と人物との関係、会話の言葉遣い、
          イメージ化のため(修飾語、比喩)

<8時間目> 全文対象

          人物像の把握と比較、主題について、事後テスト

<9時間目> 全文対象

          作者の工夫(構成、呼称の変化、表現技法、語句、情景描写など)

<10時間目> 「大造じいさんとガン」、「なめとこ山の熊」宮澤賢治

           発展読書「なめとこ山の熊」、
           考え方の比較(大造じいさんと小十郎)


2 各時間の展開
 

  <1時間目>   全文対象
             事前テスト、全文通読、初読の感想

1 事前テストをする。ー15分ー

      問 題  
 

1 主人公は、だれか。
   ア 大造じいさん  イ ガン  ウ 残雪  エ わたし

2 いくつに分けられるか。

   ア 2つ    イ 3つ    ウ 4つ    エ 5つ

3 大造じいさんは、どの年代か。

   ア 少年    イ 青年    ウ 壮年    エ 老人

4 大造じいさんの考えは変わったか。

   ア 変わった    イ 変わらない

5 残雪の考えは変わったか。

   ア 変わった    イ 変わらない

6 つかまえられたガンの考えは変わったか。

   ア 変わった    イ 変わらない

7 大造じいさんの作った小屋の入り口は、

   ア 立ったまま入れるくら    イ しゃがんで入れるぐらい
   ウ もっと低い

8 大造じいさんの作った小屋の中は、

   ア 立ったままいれるくらい   イ しゃがんでいれるぐらい
   ウ もっと低い    


2 全文を通読する。(黙読)ー17分ー
   できるだけ速く、読めない漢字はとばして読む。

3 初読の感想を書き、初読の印象に印をつける。ー6分ー
   読み終わったら各自書く。
   どんな印象か印をつける。
    暖かい・冷たい、静か・うるさい、楽しい・悲しい、固い・柔らかい
    はげしい・おだやか、 静・動、  カラー・白黒 
    赤、 白、 青、 黄、 緑、 黒
   黙読しながら読めなかった漢字に印をつける。

4 感想を発表する。ー5分ー

5 次時の予告をする。ー3分ー
   「大造じいさんとガン」を読んで、時、所、人物を調べる。
    宿題……下欄の漢字と読みを視写してくる。


  <2時間目>   全文対象
             単元の目標、題、全文通読、新出漢字・読み替え漢字の読み
             意味不明の語句の指摘、文章構成の把握(前書き、4場面)
             三要素の指摘(時、所、人物)、語り手

1 単元の目標についてー5分ー
   目標を視写する。
   「情景を思いうかべて」どういうことか。について説明する。
     情景と心情(景色と気持ち)、画面のイメージをとらえる。
      どんな背景、どんな物、どんな人物で構成されているか。 
      どんな出来事が起きているか。

2 教材についてー7分ー
   文 種……物語文
   教材名(題名)……「大造じいさんとガン」
    題と題に関係する語句を蛍光ペンで塗る。
     大造じいさん、じいさん、人間
     ガン、残雪、鳥、鳥類

3 学習課題を確かめる。ー2分ー
   「大造じいさんとガン」を読んで、時、所、人物を調べる。

4 「大造じいさんとガン」を読む。ー16分ー
(1)黙読する。 
    読めなかった漢字や意味の分からない語句に印をつける。
(2)4の場面を音読する。(斉読)

5 語り手と作者についてー3分ー
   語り手……わたし   作者……椋 鳩十

6 三要素を指摘する。ー5分ー
(1)大きく2つに分ける。  前書きと本文(4場面)
(2)時……現在ー過去(1年目秋、2年目秋、3年目秋、4年目春) 
(3)所……大造じいさんの家、沼地、スモモの木の下
(4)登場人物……わたし(前書きのみ。本文では語り手として)、大造じいさん、残雪、ハヤブサ、おとりのガン

7 学習のまとめをする。ー5分ー
(1)まとめ
    時、所、登場人物、中心人物、語り手 
(2)音読する。
    各場面の初めの一文を一斉読する。

8 次時の予告をする。ー2分ー
   どんな出来事がおきたか。
    宿題……読めない漢字にカナをふってくる。
          意味調べ(2Pずつ個人に割り当てる)
          小見出しをつけてくる。(一人一場面)


  <3時間目>   全文対象
             小見出しの設定、人物と事件、粗筋を書く
             中心人物、主人公、視点人物

1 学習課題を確かめる。ー2分ー
   どんな出来事が起きたか。

2 小見出しを発表する。ー10分ー

3 あらましをとらえる。ー15分ー
(1)場面ごとに三要素を確認する。
(2)主人公を指摘する。
    中心人物……大造じいさんと残雪
    主人公……大造じいさん   
(3)出来事を、「大造じいさんが、……した」という形でまとめる。
    前書き……わたしが、大造じいさんから愉快なかりの話を聞いた。
    1の場面……大造じいさんが、一羽のガンをつかまえた。
    2の場面……大造じいさんは、一羽のガンもつかまえれなかった。
    3の場面……大造じいさんが、残雪をつかまえた。
    4の場面……大造じいさんは、残雪を放してやった。
    全体  ……大造じいさんが、ガンつかまえようとした話

4 場面ごとに小見出しをつける。ー5分ー   教師中心になる。
   つかまえるための特別な方法に視点をおく。
    1の場面……ウナギつりばり作戦
    2の場面……タニシ作戦
    3の場面……おとり作戦
    4の場面……残雪を放す大造じいさん

5 学習のまとめをする。ー10分ー  
   ・各場面の最初の一文を一斉読して、話し合う。

6 次時の予告をする。ー2分ー
   挿絵に描かれている前の情景を思い浮かべる。
    宿題……挿絵にタイトルをつけてくる。


  <4時間目>   1~4場面対象
             イメージ化の方法、挿絵と本文の呼応、挿絵のタイトルをつける
             山場の予想、時制(文末表現)、情景と心情、カメラの位置
             視点人物と対象人物、中心人物の心情(直接表現)の把握

1 学習課題を確かめる。ー2分ー
   挿絵に描かれている前の情景を思い浮かべる。

2 挿絵のタイトルを発表する。ー10分ー

3 場面ごとに挿絵の要素を確認し、その前の情景を想像する。ー25分ー 
  (1)~(5)までを一様にやらないで軽重をつけてやる。
(1)1の場面の1 「残雪来る」
    対応する本分部分を指摘する。
    視点……語り手の視点
    要素……ガンの群れ、遠景、沼、岸辺の草地、
    前の情景を想像する。
     前の晩の苦労、
     じいさんの心情(なんだかうまくいきそう、わくわくさせ、夢中で)
(2)1の場面の2 「引っかかったガン」
    対応する本分部分を指摘する。
    視点……語り手の視点が大造じいさんと重なっている。
    要素・・・・・・くい、引っかかったガン、あたり一面の羽
(3)2の場面の1 「夜明けの沼地」
    対応する本分部分を指摘する。
    視点……語りの視点が大造じいさんと重なっている。大造じいさんがもぐりこんだ小屋からみているので低い。
    要素……山、沼地、岸辺の草
     前の情景を想像する。 
     小さな小屋の大きさ、夜の様子
(4)2の場面の2「呆然とする大造じいさん」
    対応する本分部分を指摘する。
    視点……語り手の視点。語り手は大造じいさんのうしろにいる。
    要素……大造じいさんの後ろ姿、周りはぼやけている。
(5)3の場面の1 「おとりのガンを襲うハヤブサ」
    対応する本分部分を指摘する。
    視点……語り手の視点が大造じいさんと重なっている。
    要素……青空、羽、ハヤブサ、おとりのガン
(6)3の場面の2 「大造じいさんをにらみつける残雪」
    対応する本分部分を指摘する。
    視点……語り手の視点。語り手は、大造じいさんの後ろの高いところにいる。
    要素……残雪、大造じいさん、草
(7)4の場面 「飛び去る残雪」
    対応する本分部分を指摘する。
    視点……語り手の視点が大造じいさんと重なっている。
    要素……青空、スモモの木、残雪

4 どの挿絵の部分がすきか。ー5分ー 

5 次時の予告をする。ー3分ー
   大造じいさんは、どんな人物か。
    宿題……大造じいさんは、どんな年代か。(青年・壮年・老人)


  <5時間目>   全文対象
             人物像の把握(外面と内面)
             プラスイメージとマイナスイメージ

1 学習課題を確かめる。ー2分ー
   大造じいさんは、どんな人物か。

2 大造じいさんの年代を発表する。ー5分ー
   前書きの部分……老人(72歳)
   1~4場面……壮年(36、7歳)
3 大造じいさんの人物像を明らかにする。ー20分ー
   ・職業……狩人
   ・語り手が話を聞いたときは、72歳 こしひとつ曲がっていない 血管のふくらんだがんじょうな手
                      元気、話し上手
   ・本文では、36,7歳であるから壮年。外面は描かれていない。(視点人物が大造じいさんのため)
   ・行 動……いろいろな方法を考える。苦労、努力
           残雪をうたない。介抱する。放してやる。

4 残雪の人物像を明らかにする。ー10分ー   
   残雪の利口さが変化ある反復によって、ますます明らかになっていく。
   ・外見……左右のつばさに一か所ずつ、真っ白な交じり毛がある。
          頭領らしい、なかなかりこう、決して人間を寄せつけない
          残雪は対象人物である。大造じいさんから見られているので外見が分かる。
   ・行動……仲間を救うためにかなわない相手と戦う
          人間をにらみつける。じたばたさわがない。

5 学習のまとめをする。ー6分ー
  ・大造じいさんと残雪について感想を書く。
  ・関係部分を音読する。 

6 次時の予告をする。ー2分ー
   大造じいさんの考えは変わったか
    宿題……予想をしてくる。(ガンについて、残雪について、狩りについて)


  <6時間目>   1~4場面対象
             考えの変わった人物と変わらない人物
             大造じいさんの考えの変化、変わったことと変わらないこと
             中心人物の心情(直接表現・間接表現)の把握

1 学習課題を確かめる。ー2分ー
   大造じいさんの考えは変わったか。

2 予想を発表する。ー5分ー
   ・ガンについて……基本的に変わった。
   ・残雪について……基本的には変わらないが、ますます強くなった。
   ・狩りについて……変わらない。

3 大造じいさんのガンに対する考えは、どう変わったか。ー25分ー
(1)黙読し考えが分かる部分や行動を書き抜いて、発表する。
   1の場面……たかが鳥、一晩たてば忘れる
            たいしたちえをもっている、思わず感嘆の声
   2の場面……うなってしまいました
   3の場面……じゅうを下ろしてしまいました
           いかにも頭領らしい、……
           せめて頭領としてのいげんをきずつけまい……
           強く心をうたれて、ただの鳥に対しているような気がしませんでした
   4の場面……「おうい、……」の部分。
(2)考えの変わったわけを説明する。
    1の場面……ウナギつりばりに対する残雪の対応
    2の場面……小さな小屋を認めて場所を変えた残雪の行動
    3の場面……仲間を救おうとする残雪の行動
             最期まで屈しない残雪の行動

4 変わらないのは誰か。ー6分ー
   残雪とおとりりのガンを対比する。
    残雪……大造じいさんになつかない。
    おとりりのガン……大造じいさんになついてしまった。2年間

5 学習のまとめをする。ー5分ー
  ・大造じいさんの考えの変化
  ・関係部分を音読する。 

6 次時の予告をする。ー2分ー
   大造じいさんの考えを変えさせたのは、残雪の何か。
    宿題……大造じいさんの考えが変わったことが分かる言葉を見つける。


<7時間目>   1~4場面対象
           呼称の変化、反復の効果、、情景描写と心情
           人物と人物との関係、比較の思考方法

1 前時の学習を想起する。ー5分ー
   大造じいさんの考えがどう変わったか。
    1の場面……たかが鳥、一晩たてば忘れる
            たいしたちえをもっている、思わず感嘆の声
          前の情景を想像する。
            前の晩の苦労、
            じいさんの心情(なんだかうまくいきそう、わくわくさせ、夢中で)
    2の場面……うなってしまいました
    3の場面……じゅうを下ろしてしまいました
            いかにも頭領らしい、……
            せめて頭領としてのいげんをきずつけまい……
            強く心をうたれて、ただの鳥に対しているような気がしませんでした

2 学習課題を確かめる。ー2分ー
   大造じいさんの考えを変えさせたのは、残雪の何か。

3 予想を発表し、考える。ー10分ー
(1)残雪の何か。
    態度(様子、行動)
(2)どんな態度か。
   ・ハヤブサと戦った残雪……仲間のためにかなわぬまでも全力で
   ・大造じいさんに対する残雪……力をふりしぼって対決する。
   ・一冬の残雪……野性を失わない。
     おとりのガンと残雪の対比    小屋と檻

4 大造じいさんと残雪の関係を考える。ー24分ー
(1)どう変わってきたか。
    「ばかにしていた」から「対等」の関係に。
(2)大造じいさんの呼びかけている部分を視写する。
    考えが変わったことが分かる言葉を指摘する。
     ガンの英雄よ、お前、えらぶつ、おれたち
    ひきょうなやり方とは、どんなやり方か。
     おとりを使う方法
     仲間を救うために戦っているときうつやり方
     「ひきょうなやり方」と対応する語句を指摘する。
       堂々と戦おうじゃあないか。
(3)大造じいさんの心情を反映している表現を指摘する。
     「ガン」という呼称
     残雪しかいないのに、なぜ、「ガン」といっているのか。
     大造じいさんの様子
      晴れ晴れとした顔つき
      いつまでも、いつまでも
      見守っていました。
     情景描写
      いっぱいに、晴れた日、快い羽音一番、らんまんと咲いた
(4)変わらないものはなにか。
    残雪の人間に対する考え……恐ろしい敵
    大造じいさんと残雪の関係……狩るものと狩られるもの

5 学習のまとめをする。ー7分ー
   ・学習についての感想を書く。
   ・関係部分を音読する。 
  
6 次時の予告をする。ー2分ー
   主題と作者の工夫について考える。
    宿題……作者はどんな工夫をしているか。一つ以上見つけてくる。


  <8時間目>   全文対象
             主題について
             作者の工夫
             構成、呼称の変化、表現技法、語句、情景描写など

1 学習課題を確かめる。ー2分ー
   主題と作者の工夫について考える。

2 主題について考える。ー15分ー
(1)誰が、どうして、どうなったか。
    大造じいさんが、残雪の態度に感動して、ばかにしていた鳥に対する考えを変え、残雪と自分を『おれたち』と呼ぶようになった。
(2)「大造じいさんと残雪」という題でもいいのではないか。
    「大造じいさんとガン」と比較して考える。
(3)「ガンと大造じいさん」ではどうか。

3 作者の工夫を見つける。ー20分ー
(1)発表する。
(2)発表を組み込みながら説明していく。全部はできない。
   <構 成> 前書きと物語(4場面) 3場面が一番長い。
   <呼 称> 大造じいさん、じいさん
         残雪、ガンの英雄よ、おまえ、えらぶつ、
         おれたち
   <比 喩>1の場面……子どものように
        3の場面……白い花弁のように
        4の場面……雪のように 
   <擬人法>
        1の場面……率いて、頭領、りこう、指導
        2の場面……率いて、目にものみせてくれる、かれ
        4の場面……英雄、お前、おれたち
   <よひびかけ>
        前書き……さあ、お読みください
        1の場面……いったい、どうしたというのでしょう、
   <過去形の中の現在形> 臨場感と説明
        前書き……なし
        1の場面……ぴいんと引きのばされています
              飲みこんだものらしいのです 
              ちがいありません(断言)
        2の場面……その群れは、ぐんぐんやってきます。
              そう感じたらしいのです。
        3の場面……いけどったものだったのです、あるらしかったのです飛び去っていきます、本
              能がにぶっていたのです 
              飛びおくれたのがいます、おとりのガンです 
              残雪です 
        4の場面……なし
   <漢 語>
        1の場面……頭領、形跡、
        3の場面……真一文字、一直線、花弁、威厳、
        4の場面……羽音一番、一直線
   <慣用句>
        1の場面……異状無し、感嘆の声をもらす、今さらのように感じた
        2の場面……案の定、会心の笑みをもらした、かなたの空に、 
              目にもの見せてくれる、してやられた、
        3の場面……ひとあわふかしてやる、目をくらます
              くれないにそめて、最期の時
   <複合語>
        1の場面……飛び立つ、飲みこむ、
        2の場面……もぐりこむ、ぬけだす、流れこむ、
        3の場面……飛び付く、見上げる、飼い慣らす、もぐりこむ、飛び立つ、はい出す、飛び去
              る、飛びおくれる、なぐりつける、飛びこむ、飛び散る、かけつける、ふりし
              ぼる、持ち上げる、にらみつける
        4の場面……飛び上がる、よびかける、飛び去る、見守る 
   <文 語>
    前の情景を想像する。
     前の晩の苦労、
     じいさんの心情(なんだかうまくいきそう、わくわくさせ、夢中で)

        2の場面……近づかぬがよいぞ、
        3の場面……救わねばならぬ、……もさるもの、きずつけまいと
        4の場面……快い
   <情景描写と心情>
        1の場面……秋の日が、美しくかがやいていました 
        2の場面……あかつきの光が、小屋の中にすがすがしく流れこんできました 
        3の場面……青くすんだ空、東の空が真っ赤に燃えて
        4の場面……ある晴れた春の朝でした。

4 学習のまとめをする。ー7分ー
(1)主題と作者の工夫についてまとめる。
(2)作者の工夫について感想を書く。

5 次時の予告をする。ー1分ー
   3の場面の続きを書く
    宿題……慣用句を使って、短文を一つ以上作ってくる。


  <9時間目>   全文対象
             事後テスト、3の場面の続きを書く

1 事後テストをする。ー20分ー
   事前テストと同じ問題

2 3の場面の続きを書く。ー23分ー
    前の情景を想像する。
     前の晩の苦労、
     じいさんの心情(なんだかうまくいきそう、わくわくさせ、夢中で)


3 早く終わった子は、短文作りをする。

4 次時の予告をする。ー2分ー
   「なめとこ山の熊」を読んで、考える。
     宿題……比喩を使って、短文を一つ以上作ってくる。


  <10時間目> 「大造じいさんとガン」、「なめとこ山の熊」
            発展読書「なめとこ山の熊」、考え方の比較

1 学習課題を確認する。ー1分ー
   「なめとこ山の熊」を読んで、考える。

2 「なめとこ山の熊」を読む。ー25分ー

3 大造じいさんと小十郎の狩りに対する考えを比べる。ー10分ー
   大造じいさん……たたかおう
   小十郎   ……生きるためにうつ、申し訳ない

4 感想を書く。ー8分ー

5 次時の予告をする。ー1分ー


                          



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