「大きなかぶ」 
              光村図書1年上   西郷竹彦訳 

 この教材は、次の5社が採用しています。

           1年 東京書籍(内田莉莎子訳) 
           1年 三省堂  内田莉莎子訳)
           1年 学校図書内田莉莎子訳)
              1年 教育出版内田莉莎子訳)
           1年 光村図書西郷 竹彦訳)

   光村図書の訳者は、西郷竹彦氏、そのほかの訳者は、すべて内田莉莎子氏の訳です。

 同じ作者のものを訳しているのですが、重要な部分が違っています。引っ張る順序が違っています。

 西郷氏の訳では、
             「かぶ→おじいさん→おばあさん→まご→いぬ→ねこ→ねずみ」
 となっています。

 内田氏の訳では、
             「ねずみ→ねこ→いぬ→まご→おばあさん→おじいさん→かぶ」
 となっています。

 イメージ的にいうと、起点が違います。カメラの映りかたが違います。また、力の伝わり方が違うような気がします。かぶを抜くのですから、かぶが起点の方が自然です。

 テキストとしては、光村版を使います。


  準備するもの
 

 1 教材(教科書) 

   鉛筆で書き込んだり、蛍光ペンで塗ったりしますので、コピーをしたほうがいいでしょう。教師によっては書き 
  込みを嫌う人もいます。

  手元になければ、大きい図書館では、各社の教科書を展示していることがあります。それからコピーします。

  また、図書館でなければ、教科書の出版社で面倒を見てくれると思います。

 2 蛍光ペン 2本

   基本的には何色でもかまいませんが、ここではピンクと黄色を選びました。


   

 <基礎段階>

      1年生は、お母さんが面倒を見てやらないとできません。何教材かをやればだんだんに自分でやれるように

      なります。

 

0 題を読んで考える。

  何のことが書いてあるのかな。

    お母さんが聞いて、話させます。→おおきながぶのこと、かぶのこと。

    いろいろな考えがあっていいのです。どれが間違いということはありません。

    自由な発想をする習慣ををつけるようにしたいものです。

1 全文を通読する。  

   はじめは、お母さんが読み聞かせをして、その後一緒に音読するのもいいでしょう。

 2 初読の印象を話したり、書いたりする。

      お母さんが聞いてやります。
     
      おもしろかったところは、

      びっくりしたところは、
      

     1年生は、話してみてから、単語か1文程度でで書くことからはじめます。


 3 題を手がかりに何のことが書いてあるか考える。 

     読まないうちに0で予想したことと比べる。

     おじいさんがかぶをぬいたこと、おじいさんたちがかぶをぬいたこと、

     今度は全文を読んでいるので、題だけ読んだときとは違い、多少詳しく答えることが出来ます。

     誰が、何をしたこと。どうなったこと。
 

 4 語り手が誰か考えてみる。

      お母さんが聞いてやります。

     このお話しを話してくれているのは誰でしょう。→たいていの子は、語り手ということは知りません。
                                   人物の名前を挙げます。

     おじいさんたちがかぶを引っ張っているところを見ている人がいます。

     その人がみんなに話してくれているのです。その人のことを、「語り手」といいます。

     
    その物語を話してくれている人がいます。姿は見えませんが、その場面を見てその様子を話してくれる人がいるのです。語

   り手は、いつでも、どこえで も瞬間的に移動できます。出てくる人物の姿を私たちに見えるように描写したり、その人物の心の

   中を語ったりしてくれます。語り手は、作者が創り出した人物 ですが、作者ではありません。


 5 視点人物は だれか。カメラの位置はどこか。

       語り手は、自分の目で見たり聞いたりしたことを語ってくれますから、私たちはその世界を追体験することがで

      きるのです。

     語り手は、時には、登場人物(視点人物)の目に なって語ることもあります。その時は、その人物の目から見た

     世界を見るこになります。その人物の心を知ることができます。

      ですから、私たちが見る世界は、その視点人物の目がその世界を映し出しているカメラの位置ということにな

     ります。したがって、その世界の映り方が違います。
 たとえば、「我輩はねこである」では、語り手が猫ですか

     ら、猫の高さから見える世界ということになります。私たちが垣根に止まっているカラスを見ている絵と猫から

     見えているからすとは違って映るはずです。
     

      また、語り手はいつでも、どこにでも移動できますから、
物語の途中で視点人物が代わる(カメラの位置が代

     わる)こともあります。
大相撲中継でも横からだけでなく、天井から移すことがあります。横から移している時で

     も、東西南北のどこからでも映すことができるでしょう。

      その場面の世界を正確に想像するためには、
カメラがどこにあるかが大きな手がかりになります。

   この項は、1年生には無理ですからやりません。

    参考までに、

     この話には、視点人物はいません。語り手が見て話しているのです。カメラは、語り手と同じに高さにあると考えま

     す。

 6 重要語句を指摘し、蛍光ペンで塗る。 

  (1) 題にある言葉

     「おおきな」(ピンク)と「かぶ」(黄色)です。

           見落としがあってもかまいません。後からの読みで修正すればいいのです。

  (2) 頻出語句

      「あまい」→4回

      「おおきな」→4回

       「うんとこしょ、どっこいしょ」→6回

       「ぬけません」→5回

       「ひっぱって」→20回

 7 文末表現を指摘する。 

     文末表現だけを見ていくのです。

     「・・・ました」、「ません」という敬体の過去形になっています。

 8 物語の三要素を明らかにする。


     お母さんが聞きながら考えさせてください。

     (1) 場面

        1行空いている(空行)ところで、9つの場面に分かれていることが分かります。


        時は、明示されていませんが、「たねをまく」から「おおきなかぶになる」時まで、春から秋にかけてです。

        所は、文末に「ロシアのみんわ」とありますので、ロシアの農村の畑です。


     (2) 登場人物を 書き抜く。

         おじいさん、おばあさん、まご、いぬ、ねこ、ねずみ

     (3) できごと(どうして、どうなった)

         おじいさんがかぶを抜こうとしたが抜くことができなかったみんなの力をあわせたら抜くことができた。

 9 会話文の上に誰が言っているかを書く。

  
     お母さんが聞いてやります。

     おじいさんの独り言はありますが、会話文は、ありません。掛け声だけです。

     しかし、この掛け声は、そのたびに一人ずつ加わっています。

10 大きく幾つ(幾つの場面)に分かれるか考える。


      行があいているところが切れ目になっています。9つの場面に分かれています。

      もっと大きく分けると、2つの場面になっています。

      1つは、おじいさんが種を蒔いてかぶが大きくなるまでの1と2の場面がまとまります。

      もう1つは、かぶを引っ張って抜くまでの3から9の場面です。

11  どの場面が山場か予想する。


      山場といっても分かりませんので、「一番気に入った場面はどこでしょう」と聞いたらいいと思います。

12 場面ごとに、誰がどうしたかを簡単にまとめる。

      話させます。

       1の場面→おじいさんがたねをまいた。

       2の場面→かぶができた。

       3の場面→おじいさんひとりではぬけなかった。

       4の場面→おばあさんをよんできたが、ぬけなかった。

       5の場面→まごをよんできてもぬけなかった。

       6の場面→
いぬをよんできてもぬけなかった。

       7の場面→
ねこをよんできてもぬけなかった。

       8の場面→
ねずみをよんできてみんなでひっぱった。

       9の場面→おおきなかぶがぬけた。



13 場面ごとに、小見出し (小さな題)をつける。

      ちょっと無理だと思います。

14 挿絵にタイトルをつけてみる。


      これも無理でしょう。

15 挿絵に表現されている教材文の範囲を考える。

       P70→1の場面

      P71→3の場面

      P72・73→5の場面

      P74・75→7の場面の「いぬはねこをよんできました」に関係がありますが、文中にははっきりありません。

              犬が猫を連れてくるところと、その間おじいさんとおばあさんとまごが休んでいます。

      P76・77→8の場面

      P78・79→9の場面

16 中心人物とそれを支える人物を指摘する。


      これも無理です。学年的に無理ですが、大人としても決めきれません。

      強いて言えば、全画面に出てくるおじいさんでしょう。

17 中心人物の呼称の変化を書き抜く。


      呼称の変化はありません。


 <整理段階>

     次のような表に記入します。

        お母さんが表を作ってやって、聞きながら書いていきます。まだ、書き慣れないので書くスピードが遅く、書くことを嫌が

      ります。

        書くことが目的でなく、考えることが目的です。


 場面   と き   と こ ろ       人    物  か ぶ
  1 春 おじいさんのはたけ おじいさん たね
  2 秋 おじいさんのはたけ おじいさん おおきなかぶ
  3 秋のある日 おじいさんのはたけ おじいさん ぬけない
  4 秋のある日 おじいさんのはたけ おじいさん、おばあさん ぬけない
  5 秋のある日 おじいさんのはたけ おじいさん、おばあさん、まご ぬけない
  6 秋のある日 おじいさんのはたけ おじいさん、おばあさん、まご、いぬ ぬけない
  7 秋のある日 おじいさんのはたけ おじいさん、おばあさん、まご、いぬ、ねこ ぬけない
  8 秋のある日 おじいさんのはたけ おじいさん、おばあさん、まご、いぬ、ねこ、ねずみ ぬけてきた
  9 秋のある日 おじいさんのはたけ (おじいさん、おばあさん、まご、いぬ、ねこ、ねずみ) ぬけた

       9の場面は、独立していますが、実質はつながっています。ですから、人物は書いて

       ありませんが、みんながいます。


 <イメージ段階> 
 
    文章や挿絵、表を手がかりに物語の世界を自分のテレビに映し出してみるのです。

    場面、カメラの位置(視点人物)、背景、人物、ものなどを考えます。

    また、それらの移動の様子、音などを考えます。

    挿絵を手がかりにします。

     1の場面は、お母さんが自分のテレビに写った様子を、目をつぶっている子どもに話して

    聞かせてください。2からは、子どもがまねして言えるようになります。子どものテレビが終

    わったら今度はお母さんのテレビを映してください。交互に映すのです。その度に子どもの

    テレビはよく映るようになります。

       1の場面→挿絵のようでいいです。春の風景です。できれば、畑や遠くの方に森や家などを映したいものです。おじい

              さんが動くようになるといっそう面白いです。また、孫が側にいてもいいでしょう。

              おじいさんが、家から出て歩いて来る姿も映せます。天候は、晴れ、風は特になし。

       本文にはないが→夏の間、畑の世話をするおじいさんと孫の姿も映せます。

       2の場面→
秋の景色です。天候は、晴れ、風は特になし。おおきなかぶが映ります。ちょっとカメラを引いてかぶを見て
       
              喜んでいるおじいさんとまごを映しましょう。

       3の場面→
この場面以降は、ある日のある時間を起点とした連続場面です。

              2と同じ秋の景色です。  天候は、晴れ、風は特になし。挿絵のようでいいでしょう。おじいさんの引っ張る
           
              様子が動画になればいいです。まごはいません。
       
       本文にはないが→おばあさんを呼びにいくおじいさんの後姿、やがて急いで来るおじいさんとおばあさんの姿を映した

                  いものです。何か会話をさせてもいいでしょう。


       4の場面→P73の挿絵からまごを除いた画面になります。体の動き表情がアップになればいいですね。ぬけなかった

              時の会話があればいいですね。

       本文にはないが→
まごを呼びにいくおばあさんの後姿、やがて急いで来るおばあさんとまごの姿を映したいものです。

                   何か会話をさせてもいいでしょう。また、画面を切り替えて、休んでいるおじいさんの姿も映せます。

       5の場面→P73の挿絵でいいです。まず、かぶを引っぱているおじいさんが映ります。カメラがおばあさん、まごへと

              移ります。カメラが引いて全体が映ります。

       本文にはないが→いぬを呼びにいまごの後姿、やがて急いで来るまごといぬの姿を映したいものです。

                   何か会話をさせてもいいでしょう。また、画面を切り替えて、休んでいるおじいさんとおばあさんの姿

                   も映せます。
何か会話をさせてもいいでしょう。

       6の場面→かぶを引っぱているおじいさんが映ります。カメラがおばあさん、まご、いぬへと移ります。

              カメラが引いて全体が映ります。
ぬけなかった。

       本文にはないが→ねこを呼びに走っていくいぬの後姿、やがて走って来るいぬとねこの姿を映したいものです。

                   何か会話をさせてもいいでしょう。また、画面を切り替えて、休んでいるおじいさんとおばあさん、ま

                   ごの姿も映せます。
何か会話をさせてもいいでしょう。 

                   P75・74の挿絵は、休んでいるおじいさんたちとやってくるいぬとねこが描かれています。                  

       7の場面→かぶを引っぱているおじいさんが映ります。カメラがおばあさん、まご、いぬ、ねこへと移ります。

              カメラが引いて全体が映ります。
ぬけなかった。

       本文にはないが→ねずみを呼びに走っていくねこの後姿、やがて走って来るねことねずみの姿を映したいものです。

                   何か会話をさせてもいいでしょう。また、画面を切り替えて、休んでいるおじいさんとおばあさん、ま

                   ご、いぬの姿も映せます。
何か会話をさせてもいいでしょう。 


       8の場面→かぶを引っぱているおじいさんが映ります。カメラがおばあさん、まご、いぬ、ねこ、ねずみへと移ります。

              カメラが引いて全体が映ります。
ぬけなかった。P77・76の挿絵です。

       9の場面→抜けた瞬間から映せます。そして、P79・78の挿絵です。おおきなかぶがぬけました。

       本文にはないが→喜び合っているみんなの姿が映せるでしょう。何か会話をさせてもいいでしょう。


       「うんとこしょ、どっこいしょ」のかけごえは、少しずつ大きくなっていきます。おじいさんやおばあさんの表情は、だんだ

       ん疲れた表情になります。



 <思考段階> 

  1 比較の思考
    お母さんが教えてやります。

 (1) 同じ行動(かぶを引っ張る)での違いを考える。
 
      ① 引っ張る人物が一人ずつ増えている。
      ② 引っ張る人物の力がすこしずづ小さくなっていく。
      ③ おじいさんとおばあさんやまご、いぬ、ねこは、引っ張るたびに疲れてくる。
      ④ 掛け声が、少しずつ大きくなっていく。
      ⑤ 掛け声と結果をつなぐ言葉
          けれども(ぬけない)→それでも
(ぬけない)→やっぱり(ぬけない)→まだまだ(ぬけない)→なかなか(ぬけない)
     
     →とうとう(ぬけた)

 (2) 人物同士を比べる。

     力を比べます。

      ① おじいさんと他の人物
          おばあさん、まご(男の子ではなく女の子)、いぬ、ねこ、ねずみ
          おじいさんとねずみの差は大変大きいですね。→でも、それがあるとないとでは結果がまったく違います。

      ② おばあさんと他の人物
      
    いぬ、ねこ、ねずみ

      ④ いぬと他の人物
          ねこ、ねずみ

      ⑤ ねこと他の人物
         ねずみ
         力のことではないのですが、食べるものと食べられるものという関係があります。大きさということを抜きにしても猫          がねずみを呼んでくるというのは、みんな仲良くしているという一つのメッセージを示していると思います。


 2 粗筋を言った り、書いたりする。

       
お母さんがはじめの方を話してやり、その次の場面を子どもに話させます。


 3 人物像を考える。
 
       おじいさんについては、「種をまく」という言葉と挿絵から想像できます。農民です。

       挿絵からは、いろいろなことが分かります。人物の外見(顔、服装など)が分かりますし、まごが、女の子ということが分

       かります。

       お父さんとお母さんがでてきていません。


 4 読者を物語の世界に引き込むための作者の 工夫をまとめる


      お母さんが教えてやります。

       「うんとこしょ、どっこいしょ」、「ひっぱって」、「ぬけません」の繰り返し。

       
力の大きいものから順に力の小さいものが加わっている。

       呼んできて引っ張るの繰り返し。
  

 5  気に入った部分を見つける。

     2回目ですが、どこが気にいるでしょう。


 6 主題や願いについて考える。

      お母さんが話して聞かせます。

      おおきなかぶをみんなで力をあわせて抜くことができた。小さいねずみの力も大切である。

      みんな一人ひとりに価値がある。


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