お母さん方へ 1 ここで述べている学習方法は、普通の国語の授業では、このようなことを特別に取り上げては進めないと思われます。ですから、 2 子どもに無理をさせないように、1日の作業は30分以内にしてください。30分にならなくても子どもが興味を失ったようであれば 3 できれば、1年生の教材を同じやり方でからやってください。どこの教科書会社の教材をやってもやり方は同じです。いくつかの教 材をやると、大体の手法が身につきます。そしてから、自分の学年の教材に取り組んでください。 |
準備するもの 1 教材(教科書) 鉛筆で書き込んだり、蛍光ペンで塗ったりしますので、コピーをしたほうがいいでしょう。教師によっては書き込みを嫌う人もいま 手元になければ、大きい図書館では、各社の教科書を展示していることがあります。それからコピーします。 また、図書館でなければ、教科書の出版社で面倒を見てくれると思います。 2 蛍光ペン 2本 基本的には何色でもかまいませんが、ここではピンクと黄色を選びました。 |
通読しながら、読めない漢字や意味の分からない言葉に鉛筆(後で消すため)で印(簡単なものを自分で決めていい)をつける。
読めない漢字には、聞いたり教材文の欄外を参考にして仮名を振る。読めるようになったら消す。
段落番号 | 文頭の言葉 | 重 要 語 句 | 文末表現 |
① | はるの道ばたに | すみれ 花 | ます |
② | よく見ると | すみれ (花) | ます |
③ | どうして | (すみれ) (花) | のでしょう |
④ | すみれは みの中には | すみれ 花 み (すみれ) み たね | ます ます |
⑤ | よく晴れた日に | (すみれ) み | ます |
⑥ | <そして> とび出した | (すみれ) み たね (すみれ) たね | ます ます |
⑦ | ありが たねには | すみれ たね あり (すみれ) たね | ました ます |
⑧ | ありは | (すみれ) たね あり | ます |
⑨ | しばらくすると すてられたたねを どうやら | (すみれ) たね (あり) (すみれ) たね (すみれ) たね (あり) | ます ます ようです |
⑩ | すみれは <しかし> <そこで> | すみれ め (すみれ) たね すみれ たね (あり) | ます ません のです |
⑪ | ありのすは そのため | あり すみれ 花 め たね あり | ます のです |
全文を大きく3つ(はじめ・中・終わり、序論・本論・結論)に分けてみる。
はじめ→①~③
中 →④~⑩
終わり→⑪
3 題・冒頭部分から、読みの視点をとらえる。
題や冒頭部分(序論)を手がかりに、何のどんなことを説明しているか考える。
ここは2年生では無理です。問答しながら考えさせてください。
・何番で問題を出していますか。→③ 文末に注目。
・どんな問題ですか。→「どうして、こんな場所に、さいているのでしょう」
・こんな場所というのはどんなところですか。→②の注目させる。指示語の指示内容はその文の前にあります。
コンクリートのわれめや高い石がきのすきま
・さいているのは、何ですか。→すみれの花。
・「すみれの花が、コンクリートのわれめや高い石がきのすきまにさいているのはなぜか」を考えながら読んでいきましょう。
4 冒頭部分と結びとの関係を探る。
冒頭(序論)と結び(結論)を対比して、視点がどうまとめられているか考える。
ここも2年生では無理です。問答しながら考えさるか、カットしてください。
参考までに、
冒頭部は、②と③と考えます。③で、「どうして、こんな場所に、さいているのでしょう」と問題提示していますが、「何が、どこに」
が明示されていません。②とあわせてみますと、「すみれの花が、コンクリートのわれめや高い石がきのすきまにさいているのは
なぜか」という問題がはっきりします。
それを、「すみれの花が、コンクリートのわれめや高い石がきのすきまにさいているのは、ありがたねをはこんだから」とうけてい
ます。冒頭部に出てきた重要語句(「すみれ、花、コンクリートのわれめ、高い石がきのすきま、さいている)がここで繰り返されて
います。それだけでなく、題にあった「あり」が付け加えられているのです。
重要語句や文末表現を手がかりに段落の役割をつかみ、文章構造図を書いてみる。
ここも2年生では無理です。問答しながら分かりやすい段落を考えさるか、カットしてください。
参考までに、
段落番号 | 段落の役割 | 内 容 |
① | 話題の提示1 | すみれの花 道ばた |
② | 話題の提示2 ①③の補足 | 道ばた→コンクリートのわれめ、高い石がきのすきま |
③ | 問題の提示 | どうしてこんな場所にさいているか |
④ | すみれの説明1 | 花のあとにみ、その中にたね |
⑤ | すみれの説明2 | みが三つにさけてひらく |
⑥ | すみれの説明3 | たねがとび出して地面に落ちる |
⑦ | ありの行動1 | 地面に落ちたたねを見つける |
⑧ | ありの行動2 | 巣に運ぶ |
⑨ | ありの行動3 | 種を巣からすてる |
⑩ | すみれとありの関係 | すみれは、たねにありがこのむ白い塊をつけて運んでもらう |
⑪ | 答え | ありの巣はどこにでもある。そのため、すみれはコンクリートのわれめや高い石がきにもさくことができる。 |
文章構造は、
1 序論・本論・結論という大きな分け方からすると、
(①-②-③)・(④-⑤-⑥-⑦-⑧-⑨-⑩)・⑪ となる。
2 ①から時間の経過を追った単純なものと考えることができるが、別の見方もできます。
①ー②-③-④-⑤-⑥-⑦-⑧-⑨ー⑩ー⑪
3 よく見ると、すみれの説明(1・2・3)とありの行動(1・2・3)と大きく二つにまとめられるので、
(①ー②-③)-(④-⑤-⑥)-(⑦-⑧-⑨)ー⑩ー⑪
(④-⑤-⑥)-(⑦-⑧-⑨)の( )の中は時間を追ってはいますが、並列関係です。
6 比較して考える。
何を比較するかという観点を見つけるのは、子どもにとってとても難しいので、指導者が提示して解決する面白さを感じ取らせます。
それには、指導者がいい観点を見つけなければなりません。これがなかなか難しいのです。
子どもが興味を持って取り組みそうな観点
文章にその回答がある観点、あるいは文章を手がかりに推測できるような観点。
タイプは2つあります。
1 どの教材にも共通する形式的な観点
この観点は、どの教材でも当てはまりますので、その教材で特徴的なものを取り上げます。
・文頭の言葉を比較する。
・段落のはじめの言葉を比較する。
・文末を比較する。
・重要語句を比較する。→ここまでは既にやってきています。
・呼称を比較する。
2 この教材でしか考えられない内容的観点
内容的観点は、その教材でしか解決できない観点です。この観点が最も子どもの興味を引き、思考力をつけます。
ところが、この観点を見つけやすい教材と見つけにくい教材とがあります。そこが指導者の腕の見せ所です。
(1) 呼称を比較する。
特に比較する呼称はありません。 「すみれ」は「すみれ」、「あり」は「あり」です。
(2) 「すみれ」の変化を比較する。
①花→④み→③④たね→⑦たね(白いかたまり)→⑨たね(白いかたまりなし)→⑪め→花
・③④のたねには、白いかたまりがついていますか。→ついています。
・①の花は、いつさいていましたか。→はるです。
・⑪の花はいつさくのですか。→はるです。
・①と同じはるですか。→ちがいます。つぎの年のはるです。
(3)「たね」を比較する。
⑦の「おちていたたね」→白いかたまりがついていた。
⑨「ありがすから出したたね」→白いかたまりがなくなっていた。
・白いかたまりはどうなったのでしょう。→ありがたべてしまった。ありがとってしまっておいた。
・たねはどうしてすてたのでしょう。→たべれないから。いらないから。
・白いかたまりがついていなくてもすみれは、めを出すことができるでしょうか。→⑪できます。
まだ考えるとあるかもしれません。比較して考える面白さを感じさせてほしいです。
7 挿絵や写真にタイトルがないときは、自分でつけてみる。
子どもが内容を理解して、表現するいい訓練になります。
8 筆者の感情・態度を表している語句を指摘する。
説明文であっても必ず筆者の気持ちを表す言葉が、「助詞、修飾語、文末表現、比喩等」にこめられています。
子どもたちには難しいですから、気づかせてやるようにしてください。なれてくると自分で見つけれるようになります。
とくにプラスイメージの言葉はつかっていません。
「せっかく」という言葉に、「苦労して運んできたのに」と子どもたちがありに気持ちを寄せるようにしています。
そして、「白いかたまり」だけがなくなっていることへ、子どもの意識を持っていっている。
9 筆者の工夫を探す。
ここも子どもたちには難しいですから、気づかせてやるようにしてください。なれてくると自分で見つけれるようになります。
この文章には、筆者が2年生の子どもたちに、「すみれの花が思いがけない所に咲いている不思議さ」に目をむけさせ、
「ありの思いがけない役割」について説明しています。
(1)ていねいなやさしいいいまわしをしている。
(2)写真を多く使っている。
小見出しをつけ分かりやすくしている。
子どもに分かりやすいようにP38の写真には、拡大部分がある。
(3)子どもにとって意外なことを提示して興味を引いている。
すみれの花の咲いている場所→子供たちは普段見ているのだが、気にも留めていない。
「コンクリートのわれめ」 「石がきの→すきまにも(おどろき)」 「白いかたまりだけ(強調)」
「地面にしか(強調)」
9 段落の要点を「主語ー述語」の形でつかみ、要点をまとめる。
「何がどうした」をとらえ、それに「どのように」をつけたすと簡単な要点になります。
要点をまとめることは大変難しいことです。特に詳しく説明している実験・観察などは、大人でも面倒です。それを
子どもたちに要求するのは無理があります。できる子以外の子にとっては大変苦痛です。国語嫌いの子どもを作って
しまいます。
簡単な段落(①、②、③、④、⑤ )だけやらせるようにしましょう。後はやらなくていいです。できる子に話させるか、指導者が説明すれ
ばそれでいいです。
段落に文末がひとつしかない場合は簡単です。文の数が多くなるほど面倒ですから、そういう段落は、対象にしない方
がいいでしょう。
参考までに
段落番号 | 要 点 |
① | はるの道ばたにすみれがさいている。 |
② | コンクリ-トのわれめや高い石がきのすきまにもさいている。 |
③ | どうして、こんな場所にさいているのでしょう。 |
空行がある。→①、②、③が一つのまとまりということを示している。 | |
④ | 花のあとにみ、みの中にたねがたくさんできる。 |
⑤ | よく晴れた日にみが三つにさけてひらく。 |
⑥ | みの中からたねがとびでておちる。 |
⑦ | ありが、白いかたまりがついたたねを見つけた。 |
⑧ | ありは、たねをすの中へはこびます。 |
⑨ | ありは、たねをすの外にだした。白いかたまりがない。たねは食べないようだ。 |
⑩ | すみれは、なかまをふやしたいが、じぶんの近くにしかたねをおとせない。たねにありのすきな白いかたまりをつけてはこんでもらう。 |
⑪ | ありのすはいろんなところにあるので、コンクリートのすきまや高い石がきのところにもめを出して花をさかせることができる。 |
<発展段階>
対象児童によってどの活動を選択するかは、指導者が決める。
1 部分を図表やイラストに書いてみる。
2 意味段落に小見出しをつける。
5 自分の感想や意見をもつ。
内容、構成、表現、筆者の意見などについての自分の考えを話したり、書いたりする。
6 発展読書をする。
似たようなもの、こと、材料、テーマを取り扱った本を読む。