4年 「白いぼうし」


 教材分析の実際

第 1段階(機械的作業)

1 形式段落に番号
   24段落

2 指示語や接続語に印をつける。

3  題と同じ言葉を塗る。
   ピンク→白い、もんしろちょう、ちょう、白いちょう
   黄 色→ぼうし、

4  時・所・人物・事柄を関連付けて書き抜く。
 
  時   所   人物   事柄
6月初めの暑い日車の中(ほりばた)
大通り
お客(しんし)
松井さん(運転手)
おふくろ
レモン(黄色)
夏みかん(速達)
におい 母の気持ち
6月初めの暑い日車の中(細いうら通り)松井さん夏みかん におい
6月初めの暑い日車の中(車道の直ぐ傍)松井さん小さなぼうし
6月初めの暑い日車の外(車道の直ぐ傍)松井さん
太ったおまわりさん
何か→もんしろちょう
白いぼうし
6月初めの暑い日
車の中(細いうら通り)松井さん
女の子
6月初めの暑い日
  エンジンをかけた時
車の外男の子
お母さん
白いぼうし
夏みかん
6月初めの暑い日
  アクセルを踏む
車の中松井さん
(女の子)
(男の子)
白いぼうし
夏みかん
6月初めの暑い日小さな団地の前の小さな野原松井さん
白いちょう
よかったね→よかったよ
夏みかんのにおい
 

5 登場人物を書き抜く。

6 文末表現をチェックす る。(敬体と常体、現在形と過去形)
   常体と敬体の混交
   現在形と過去形の混交

7  表現をチェックする。(比喩、会話の文末、修飾語、畳語、複合語、呼称)

(1)比喩
  3 夏がいきなり始 まったような暑い日
  6 緑がゆれているやなぎの
 12 まるで、あたたかい日の光をそのままそめ付けたよう な、見事な色
 14 つかれたような声
 20 口をOの字に開けている
 23 シャボン玉 のはじけるような、小さな小さな声

(2)複合語       畳語    修飾語        その他
  1 話 しかける   にこにこ                 過去形
  2                                 名詞止
   3 たくし上げる          速達で          混交
  4 走り出す                          過去形

  行空き 空行

  5                   すぐそばに        過去形
                       小さなぼうし
  6                   かわいい白いぼうし  過去形
                       ちょこんと
  7 つまみ上げる                        過去形
    飛び出 す            ふわっと
  8 振り回す    ひらひら   あわてて          過去形
    舞 い上がる
  9                  小さく             現在形
 10 通り過ぎる   じろじろ    小さな             過去形
 11 つっ立つ            急いで           過去形
    思い つく      
 12 取り出す                             混交
 13                   白いぼうし          過去形

  行空き 空行

 14                  かわいい女の子      混交
                     ちょこんと
                    疲れたような声
 15                  元気そうな男の子の声    過去形
 16         ぐいぐい                     現在形
  17         せかせか                     過去形
 18         みるみる                     混交

  19                そうっと              現在形
20 こみ上げる                            過去形
    ふり返る
21                 小さな、小さな         過去形
22                  白いちょう           混交
                   青々と
23                  小さな、小さな         過去形
24                 かすかに

(3)人物の呼称と会話の文末、色彩語

    会話文は、人物の気持ち・人柄・育ち・性別や人物と人物の人間関係を表している。

 
人物の呼称と会話の文末          色彩語   
  0                          白
  1 お客→「ですか」              レモン(黄色)
    松井さん→「です よ」           夏みかん(オレンジ)、赤
  2 なし                   
  3  お客→「てのは、ですか」         白      空(青と白)
    松井さん→「です、でしょう、ですよ」  (みかん色)
     (おふくろ)  
  4 しんし→なし                 青

 行空き 空行

   5 松井さん→「ぞ、わい」 心内語     (ワイシャツの白)
  6 松井さん→なし                緑、白
   7      「あれっ」              (白→ぼうし、ワイシャツ)
  8 松井さん→「だな」              白、緑
     もんしろちょう                (白→ぼうし、ワイシャツ)
                            空(青と 白)
  9 なし                      赤、(白→ぼうし、ワイシャツ)
10 松井さん→「だろ う」            (白→ぼうし、ワイシャツ)
   おまわりさん→なし
11 松井さん                   (白→ぼうし、ワイシャツ)
12 なし                      見事な色(みかん色)
                            (白→ぼうし、ワイシャツ)
13 松井さん→なし              みかん色、 白、(白→ワイシャ)

 行空き 空行

14 女の子→「たの、だもん、かしら」    (白→ワイシャツ)
    松井さん→「まで、ですね」
15 男の子→「さあ、だよ、もん」
16 男の子→「よ、てね、あらあ」        水色
   お母さん→なし
17 女の子→「ちゃん、ちょうだい」
18 (女の子と 松井さん)            (白→ワイシャツ)(緑)
19 松井さん→「―、しただろう」
20 松井さん→ 「-、ふっ、な」
21 なし
22 ちょう→「ね、よ」                緑地(クローバー、タンポポ)
                               白(わた毛、ワイシャツ)、黄色(花)
                              空 (青、白)
23 なし
24 なし
時間 余韻

第2 段階(簡単な思考作業)

1 頻出語句、反復語句の指摘。
   色彩語、

2 内容的重要語句 の指摘。
   夏みかん、におい、小さな、小さい

3 題についての考察
   初発の感想程 度
   学習してから
    白いぼうし→人物と人物を繋ぐ。事件を繋ぐ。

4 場面構成を とらえる。
   起承転結。結が場所の違いで2つに分かれる。

第3段階 作品の世界を追体験 する。(比較の思考)

1 TVにどう映るか、順序に映してみる。カメラの位置(視点人物)に注意。
    人 物、事物、会話、音、色、動き、天候

2 人物像や事物、それぞれの関係をとらえる。

(1) 人物像
   ① 松井さん
   ② お客のしんし
   ③ おふくろ
   ④ 男の子
   ⑤ お母さん
   ⑥ もんしろちょう(女の子)
   ⑦ 太ったおまわりさん

(2) 人物と人物の関係
   ①松井さんとお客 夏みかんの香り
          ぼうし、ちょう
   ②松井さんとおふくろ
   ③ちょうと女の子 
   ③松井さ んと女の子
   ④男の子とお母さん
   ⑤松井さんとおまわりさん
   ⑥男の子と女の子 (ちょう)

(3) 人物の変容
   ① 変容しない人物
      おふくろ、お客のしんし、男の子、お母さ ん、
   ② 外見が変容する人物
      女の子(ちょう)→もんしろちょう→女の子→ちょう
      自由→束縛 →他力で脱出→自力で自由(仲間の下へ・祝福)
   ③ 人物像が変容する人物
      松井さん 類比によって優しさが一層強 まってくる。
(4) 修飾語や比喩に注意。
(5) 人物の呼称、会話。
(6) 比較の思考
   ①対比
    車の中の夏みかん→松井さんにとっての夏みかん 残っている香り
             お ふくろにとっての夏みかん、
             松井さんとおふくろを繋ぐ夏みかん
    ぼうしの中の 夏みかん→男にとっての夏みかん、お母さんにとっての夏みかん
  ②反復
    松井さんの行動
      帽子の下に大事な夏みかんを置いた松井さんの心→失敗・償い
     男の子とお母さんは知らない。女の子も知らない。
      松井さんと読者は知っている。
(7) 事物
     夏みかん→優しさの象徴
     白いぼうし→はじめ と終わりには出てこない。
     におい→レモンのにおい→夏みかんのにおい→残っている夏みかんのにおい

3 人物の評 価(プラスイメージとマイナスイメージ)
   マイナスイメージの人物はいない。総てプラスイメージである。
    特にプラスイメージが強いのは、松井さん、おふくろ、夏みかんである。

4 主題
    優しさ

第 4段階 作者が読者をひきつけるための工夫を探る。

第5段階 教材化の試み→どの要素をどのように教材とする か。

第6段階 興味を持ち、探求し、満足感・成就感を得て、次時への意欲を
       持つような授業の組み立て

第7段階 授業実践

第8段階 成果と課題

inserted by FC2 system