説明文教材分析

   思考力をつける教材分析

    ここは、教師の皆さんが対象です。

<教 材分析の基本的構え>

   読者を文章に引き込むために、筆 者がどんな工夫をしているのか。

 1 論の展開を分析する。
    冒頭の文章を分析し、その一節がどう展開し、どう結論づけられているか、その過程で子供達はどのような思考力と表現力を身に

    つけるのか。

 2 内容価値を分析する。
    改めて題名に戻り文章全体を読み直し、どんな新しいものの見方、考え方を学ばせることができるのか。


<分析の視点>


 1 題 名

 (1)内容を表す。
 (2)中心話題を示す。
 (3)文章を読むための一つの方向性をもっている。
 (4)述べられていることに対する筆者の意見、感情、態度を予測させる。
 (5)読者に知的好奇心(興味、疑問、驚き、意欲)を引き起こさせる。

 2 冒頭部分(書き出し)

 (1)題材の明示と課題の提示が行われていることが多いため、読者の思考を動機づける。
 (2)文章で説明されていることをどうい う観点で読み、思考していくかを提示しており、読みの方向づけをしている。
 (3)どのような論の進め方をしているかを示していることが多い。
 (4)読者に知的好奇心をいだかせる。

 3 論の進め方

   読者の常識をくつがえす意外性や論の展開の巧みさに注目する。
   読者の興味を引き、文章に引き込んでいくために、どの様に組み立てており、どんな工夫をしているかについてみていく。

 (1)方 法  
    帰納的な展開(実例→結論)
    演繹的な展開(結論→実例)

 (2)順 序
    時間的な順序
    因果的な順序
    並列的な順序
    内容的な順序

 (3)構 成

 (4)論の展開
     問答法……低学年に多い。  仮定法……高学年に多い。

 4 比較の思考

 (1)比較の対象
    ・書かれてある内容
    ・文章の構成(文、形式段落、意味段落、文章)
    ・論の進め方(文、形式段落、意味段落、文章)
    ・例のあげ方 
    ・文型
    ・ものの見方、考え方
    ・同一の事柄の中での二つのもの、三つのもの
    ・同じものの前と後
    ・筆者の考えと読者の考え
    ・事柄と事柄
    ・プラスイメージとマイナスイメージ
    ・文末表現
    ・言葉(和語、漢語、外来語、複合語など)
    ・事物の呼称

 (2)比較の観点
   ア 類比
      似たようなところに目をつけてものごとをずうっと見ていくことにより、その類似性や共通性が明らかになり、物事の本質を明らかに
      する。
   イ 反復 
      基本的には類比と同じであるが、類比的なものが時間的に次々と展開していったり、同じ事柄が変化、発展していくことであり、説      得性が強まって いく。

     イメージや意味を強調する。内容の深まりを示す。構成上の反復と内容上の反復がある。

   ウ 対比
      対比して物事を見ることによって、物事がより明らかになり本質がうかびあがってくる。
      対比の観点を見つけることが鍵である。

 5 事物の呼称

   同じ物事をどう表現しているかによって、筆者のその物事に対する感情やその変化を読み取ることができる。

 6 筆者の感情・態度

   説明的文章には、そのことに対する筆者の感情、感動、態度が必ず含まれている。文、修飾語、助詞、文末表現、比喩などから、

   筆者の感情、感動、態度 を探り、物事に対する見方、考え方を学ぶのである。

 7 比 喩

   叙述や説明に非常に使われ、その物でははっきりとしないことを明瞭にする効果がある。
  (直喩、隠喩、活喩…擬人法、声喩…擬声語・擬態語) 

 (1)伝達のための比喩
    自分が伝えようとするものまたは事柄を、読者がまったく知らないためにそのまま言ったのでは、まるっきり分かってもらえない

   場合に使う。抽象的な ものを具体的なもので表す。読者は類推する。

 (2)強調的な比喩
    自分が伝えようとするものまたは事柄を、読者がよく知っているのでそのまま言ってもいいのだが、自分としては他のもので

    たとえそのイメージを借り て、より豊かに伝えたい(強くいいたい)時に使う。

 8 重要語句

 (1)題名に使われている語句
 (2)関連語句……題名に使われている語句に内容上で関連している語句
 (3)連結語句……段落と段落を結び付けている語句
 (4)反復語句……数回繰り返されている語句
 (5)頻出語句……頻繁に繰り返されている語句

 9 言 葉

   和語、漢語、外来語、指示語、接続語、修飾語、複合語、順序を示す語句、時間を示す語句など。

10 文末表現

 (1) 日本語の特性(文末決定性)から、文末表現を吟味するだけで次のようなことが明らかになってくる。
    ・文や段落の役割。
    ・要点を見抜くための手掛かり。
    ・同語反復により強調。
    ・筆者の意図、感情、態度、意見。

 (2)吟味の視点

   ア 文体
      敬体……文学的文章に多い。
            柔らかい感じ、素直な感じ、 優しい感じ、女性的
      常体……説明的文章に多い
            かたい感じ、厳めしい感じ、歯切れがよい感じ、男性的

   イ 時制
      現在形……説明的文章に多い。
           現時点での対象の性質を述べたり、普遍性の高い命題を述べたりするとき用いる。
           文学的文章においては、読者に臨場感を与える。
      過去形……文学的文章に多い。
           説明的文章の中では、実験や観察の方法・結果を述べるときや出来事を述べるとき用いられる。読者に臨場感を与える。 
      歴史的現在形……普遍的な事実を述べている。

   ウ 文末の役割
     説明、可能、推量、推測、伝聞、問い掛け、呼び掛け、否定、断定、強調、事実の説明、結果の説明など。

    
11 結論(結び)部分

   筆者の発見や情報伝達の意図が述べられている。
   冒頭部分(序論)とどの様に照応しているかを探り、中心部分(本論)とのかかわりを確かめていき、結び(結論)の役割を明らかにする。

 (1)働 き
   ア 説明してきたことをしめくくり、一般化をめざす。
   イ 説明してきた対象に対する読者の興味の拡大をめざす。
   ウ 読者の行動・認識の変容をめざす。

  (2)題名との呼応はどうなっているか。

 (3)冒頭文との呼 応はどうなっているか。

 

inserted by FC2 system