たんぽぽのちえ  光村図書 2年
  お母さん方へ

1 ここで述べている学習方法は、普通の国語の授業では、このようなことを特別に取り上げては進めないと思われます。ですから、
  このやり方をしたからといって、学校の授業に支障が出ることはありません。むしろ、学校の授業の基礎的なことがらですので、 
  大変参考になると思います。

2 子どもに無理をさせないように、1日の作業は30分以内にしてください。30分にならなくても子どもが興味を失ったようであれば
  その時点でやめてください。どこまで進むかは、子どもの意欲によります。この教材をするのが何日かかってもかまいません。
  大体10日間と考えてください。最もどんどん進むのはかまいません。慣れてくれば速くなります。

3 できれば、1年生の教材を同じやり方でからやってください。どこの教科書会社の教材をやってもやり方は同じです。いくつかの教  材をやると、大体の手法が身につきます。そしてから、自分の学年の教材に取り組んでください。

4 ゲームをしているような感じでやってほしいです。

  準備するもの

1 教材(教科書) 

  鉛筆で書き込んだり、蛍光ペンで塗ったりしますので、コピーをしたほうがいいでしょう。教師によっては書き込みを嫌う人もいま   
  す。

  手元になければ、大きい図書館では、各社の教科書を展示していることがあります。それからコピーします。

  また、図書館でなければ、教科書の出版社で面倒を見てくれると思います。

2 蛍光ペン 2本

  基本的には何色でもかまいませんが、ここではピンクと黄色を選びました。



<基礎段階>

0 題だけ読んで何のことが書いてあると思うか考えさせる。

   「たんぽぽのことが書いてある」と答えれればそれでいい。
   題から内容を予想する習慣をつける。

1 全文を読む(子どもと○読みをする)  学習方法1

   ・ 目的→文を意識させる。漢字の読み
   ・ ○読みとは、一文ずつ交代して読むことです。一番最初の段階です。次の教材からは、子どもだけで音読したり、黙読したりする
    ようにします。
 
2 形式段落に鉛筆で番号をつけさせる。  学習方法2

   ・ 目的→段落を意識させる。「段落」という言葉を使っていい。
   ・ 「形式段落」とは、1字下げて書いてある文から次の1字下げて書いてある文の前までの部分をいいます。
   ・ @を読んで、「ここが一つ目の段落です」と説明して、1字下げの部分に@と書かせる。
   ・ Aはどこに書けばいいだろうといい指摘させる。Aと書かせる。
   ・ Bからは、一人でやってごらんといい、最後までやらせる。間違っていても指摘しない。
   ・ ここからは、丁寧に読んでいかないで、一字下げのところを見つけて番号を振っていく。スピードが大事です。これは目的にあった読
    み方でいかにに早く読むかという訓練です。
   ・ 「たんぽぽのちえ」は、1から10まで、すなわち10段落からなっています。
   ・ 最後が、Iになっていなときは、どこか抜かしたのではないかという。
   ・ 出来たら褒める。

   この段階も、次からは一人でできるようになります。

3 つなぎ言葉(接続語)に鉛筆で、<   >をつける。学習方法3

   ・ 文と文とをつないでいる言葉。
   ・ 文の始めにあり、その言葉の後には「、」がある。
   ・ ここでは、Aそうして、BけれどもEそうして、Hでも、Iそうして

   ・ 始めは一緒にやります。何回かやっていると一人で出来るようになります。接続詞は比較的数が少ないのです。

4 こそあど言葉(指示語)を鉛筆で囲む。 学習方法3

  ・こそあど言葉とは、ことばの頭に、「こ、そ、あ、ど」がつく言葉。
   ・ この、   その、     あの、   どの
   ・ ここ、   そこ、     あそこ、  どこ
   ・ こんな 、 そんな、  あんな、 どんな
   ・ これ、   それ、   あれ、   どれ
   ・ こう、   そう、      ああ、   どう
   ・ こちら、  そちら、    あちら、  どちら

 ・ ここでは、Aその花は、Bこうして、Cそのあとに、Dこのわた毛、このわた毛Eこのころ、それまで、Fこんな、それは、Hそれは、
    Iこのように、

 始めは一緒にやります。何回かやっていると一人で出来るようになります。これは結構難しいです。私でも見落としがあります。子ど
もが見落とすのは当たり前です。見つけたのをほめてやってください。

5 題を手がかりに何のことが書いてあるか考える。  学習方法7

  読まないうちに0で予想したことと比べる。今度は全文を読んでいるので、題だけ読んだときとは違い、多少詳しく答えることが出
 来る。
    @たんぽぽのこと  Aちえのこと  Bたんぽぽのちえのこと。Cたんぽぽにはどんなちえがあるか。
    B かCと答えてほしい。
     @といったら「たんぽぽの何のこと?」と聞く。
     Aといったら「何のちえのこと?」と聞く。
   ここでは、題が内容を示していることをわからせる。題が大事なことも。

6 重要語句(大事な言葉)を指摘し、蛍光ペンで塗る。  学習方法8、9

(1)題にある言葉
   ア 「たんぽぽ」に黄色を塗る。
     題、@、A、B、D、Iにある。Bに2こ。
   イ 「ちえ」にピンクを塗る。
     題とIにしかない。

(2) 題と関係ある言葉
  ア @から、「たんぽぽ」と関係ある言葉(同じような言葉)を見つけさせる。
    ・「花」→たんぽぽは、花です。
    ・ 「花」を黄色で囲ませる。@、A、B、C、E、
  イ Aから、関係ある言葉を捜させる。
    ・ 「じく」
    ・ 「じく」も黄色で囲ませる。A、E、
  ウ Bから、関係ある言葉を捜させる。
    ・ 「たね」
    ・ 「たね」も黄色で囲ませる。B、D、F、H、I
  エ Cから、関係ある言葉を捜させる。
    ・「わた毛」
    ・C、D、F
    ・ 「わた毛」も黄色で囲ませる。
  オ 「ちえ」に関係ある言葉を捜させる。
    ・ 直接的な言葉はない。ないということが分かればいい。


7 文末表現の吟味  学習方法6

   ・ 「文末表現」とは、文末(。の前の言葉)のことです。
   ・ 説明文の文末は、原則として、常体で現在形です。しかし、低学年では、子どもに親しまれるように敬体を使っています。
   ・ この文章では、「・・・ます。」というのが普通です。
   ・ ところが、「ます」を使っていない文があります。それを見つけさせるのです。

  (1)最初に、@を読ませて、文末は何とかいてありますかと聞き、「ます」といったら褒める。そして、「ます」の右横に鉛筆で線を引    かせる。
     ・ Aは読ませないで、「文末」は何と書いてありますかと聞いて、「ます」に線を引かせる。
     ・ Bからは黙読しながら、「ます」に線を引いていかせる。読む必要はない。文末だけを見て「ます」だけを見つけれればいい。スピー       ド大事。Iまでやったら、二人でチェックしてあたったたびに褒める。
  (2)線が引かれていない文末を吟味する。→本当はここは思考に入ります。→
     @とAは、「ます」だけ。
     Bには、「ません」。打ち消し
          「のです」「のです」 強調
     C「ます」
     D「ます」
      「のです」 強調
     E「ます」、「ます」
     F「のでしょう」 問題 問いかけ
      「からです」  答え 理由 訳
    G「ます」
    H「ます」
     「からです」 答え 理由 訳
    I「ます」
     「のです」  強調 
     問題提示や答えの文末に気づくだけでいいです。

8 挿絵の内容を説明している段落を指摘する。 学習方法15

      P21の絵→@とA  黄色い花が2本咲いている。
                   その右に、少ししぼんだ花がある。
                   左には、黒っぽい色になった花がある。

      P22の絵→Aの後半  倒れている。形に注意 前の絵と比較
      P23の絵→E
      P24の絵→G
      P25の絵→H



 
<整理段階>

 ここは、思考の段階に移る前の準備段階です。
書くこと中心ですから抵抗があると思いますが、上手にリードしてやってください。ここで出来たシートを手がかりに思考段階に移ります。
思考段階までやると「説明文の学習の基礎」は一通りできたということになります。後は他の教材で訓練していくだけです。


<シート> ここでは横書きですが、縦書きに直して与えます。


シート記入の指導

1 文頭の言葉を書く。ある程度の区切りで
   
つなぎ言葉に< >をつける。
   Bけれども、Hでも、

2 文頭に対応する文末表現を書き抜く。

3 題の所の重要語句の欄に、「たんぽぽ」と書く。
  @〜Iまで見て、「たんぽぽ」とあった段落に書く。

4 「ちえ」を同じように書く。

5 関係語句を指摘する。
  題に関係ある言葉を書く。
   「花、じく、たね、わた毛く、たね、わた毛」を書かせる。

6 欠落しているところを補う。→思考の段階ということもできます。
  @からIまでのうち、「たんぽぽ」と書いていない段落があります。
  ここには「たんぽぽ」のことが書いていないのでしょうか。→書いてある。
  書いてあるのに「たんぽぽ」という言葉が省かれているのはなぜでしょう。
   →花、じくとかたんぽぽを示す言葉が書いてあるから。
 ( )して「たんぽぽ」と書いておきましょう。

7 色を表す語句を書き抜く。

8 わた毛を何にたとえていますか。らっかさん→書き込む。D、G、H

                    「たんぽぽのちえ」
                                                          うえむらとしお
段落番号 文頭の言葉                   重 要 語 句 文末表現
 題たんぽぽ                                                 ちえ
 @春になるとたんぽぽ  花 黄色          さくます
 A 二、三日たつと、
<そうして>
たんぽぽ  花 くろっぽい色      しぼむ 
        花 (くろっぽい色)  じく  たおれる
ます
ます
 B<けれども>
花と
こうして
たんぽぽ  かれない                 
たんぽぽ) 花(くろっぽい色)   じく やすませ たね えいよう 
たんぽぽ  (花)(くろっぽい色)            たね 太らせる
ません
のです
のです
 Cやがてたんぽぽ) 花 かれる                           白いわた毛ます
 Dこの
たんぽぽは
たんぽぽ)                                     わた毛 らっかさんのように
たんぽぽ                          たね          わた毛
ます
のです
 Eこのころになると
<そうして>
たんぽぽ)  花          じく おき上がる
たんぽぽ)             (じく)  のびて
ます
ます
 Fなぜ
それは
たんぽぽ
たんぽぽ)                         たね とおくまで   わた毛
のでしょう
からです
 Gよく晴れてたんぽぽ)                                      わた毛 らっかさんます
 H<でも>
それは
たんぽぽ)                                     わた毛 らっかさんすぼんで
たんぽぽ)                         たね          わた毛 しめる
ます
からです
 Iこのように
<そうして>

たんぽぽ                                                    ちえ
たんぽぽ)                         たね  なかまをふやす

ます
のです



<思考段階>

 私たちは、赤ん坊のころから比較して考えるという思考方法を身につけ、その中で大きくなってきました。
例えば、りんごが2個あるとします。どちらか好きな方をとりなさいといわれると、その2個を比べて自分がほしい方をとります。
大きさ、色合いを比べて、大きくて色合いの好きな方をとります。りんごと柿があれば、自分の好きな方をとります。
比較の思考は、どちらかというと根源的な思考方法ということが出来ます。しかし、私たちは、これを思考方法というような意識
で使っていません。無意識に使っているに過ぎません。

 この「比較の思考」を意識的に学習に使おうとするものです。「比較の思考」の用い方を体得すると、国語の学習が情緒的では
なく論理的になってきます。論理の上に立った情緒的な学習になると、今まで感性の優れた子どもだけが得意な国語が誰でも
ある程度までは喜んで学習に取り組むようになってきます。


1 シートを見て考える。 @〜Iを眺めて 
   全体をある観点からヨコ(水平)に比較していく。


(1)文頭の言葉を比べる
   ・文の数を意識させる。三つ→B、二つ→A、D、E、F、H、I
      Bの段落が詳しくなっている。
   ・つなぎ言葉→Aそうして、Bけれども、Eそうして、Hでも、Iそうして
   ・こそあど言葉→Bこうして、Eこのころ、Fそれは、 Hそれは、Iこのように
   
(2)段落の始めの言葉を比べる。→段落の役割や内容を推察できる。
   ・ ときをあらわすことばがあります。さがしてごらん。
     @ACEG
    順不同でいい。見つけたたびに誉める。以下同じ。
  ・ 問題を出している段落はどこでしょう。Fなぜ
  ・ 答えが書いてあると思う段落はどこでしょう。予想でいい。Iこのように
  ・ こそあど言葉が多い。

(3)文末表現を比べる。
   ・ 同じものを見つける。
     「ます」が多い。→ていねい体(敬体)の文末である。普通の説明文は、常体の文末であるが、低学年の場合は読          みやすさを考慮して敬体にしている。
   ・ 違うものを見つける。
    「ません」→否定です。
    「のです」→断定です。はっきりしたこと。
    「のでしょう」→推測・問いかけです。なぜ・・・のでしょう。
    「からです」→理由です。訳が書いてある。この文末の前が問題・問いかけです。
     以上の4つのパターン(ません、のです、のでしょう、からです)を覚えておくと、文末を見ただけでその段落の役割          がだいたい分かります。

(4)重要語句を比べる
  ・ 「たんぽぽ」が、どの段落にもある。
  ・ 「ちえ」が、Iにしかない。
   なぜだろうね。→問いかけだけにして答えを求めない。
  ・ 「花」が、@ABE。このことから、これらの段落には、「たんぽぽの花」のことが書いてあることが分かる。
  ・ 「じく」が、ABE。このことから、これらの段落には、「たんぽぽの花とじく」のことが書いてあることが分かる。
  ・ 「たね」が、BFHI。このことから、これらの段落には、「たんぽぽの花とたね」のことが書いてあることが分かる。
  ・ 「わた毛」が、CDFGH。このことから、これらの段落には、「たんぽぽの花とわた毛」のことが書いてあることが分かる。
  ・ まとめると
    @ には、「たんぽぽの花」のことが書いてある。
    A には、「たんぽぽの花とじく」のことが書いてある。
    B には、「たんぽぽの花とじくとたね」のことが書いてある。

    C には、「たんぽぽのわた毛」のことが書いてある。
    D にも、「たんぽぽのわた毛」のことが書いてある。
    E には、「たんぽぽの花とじく」のことが書いてあり、「じく」のことが書いていない。
    F には、「たんぽぽのたねとわた毛」のことが書いてある。
    G には、「たんぽぽのわた毛」のことが書いてある。
    H には、「たんぽぽのたねとわた毛」のことが書いてある。
    I には、「たんぽぽのたね」のことが書いてある。
  ということになる。これにどうなるのかということを付け加えると「要点」になる。

(5) 一番大事なのはどの段落だろう。I
    →題が「たんぽぽのちえ」とあって、「ちえ」という言葉がここにだけあるから。
   ・ 発展です。
     「ちえ」を括弧して書いてもいい段落がありそうですね。そこに(ちえ)と書いてみましょう。BEFH

 2 文章構成をとらえる。

   全文を大きく3つ(はじめ・中・終わり)に分けてみる。 

   はじめ→@、 中→A〜H、  終わり→I

 3 題・冒頭部分から、読みの視点をとらえる。 

     題から、「たんぽぽのちえ」はどんなちえだろう。

 4 題と結びとの関係を探る。

    題に、「たんぽぽのちえ」あり、それを受けて「このようにたんぽぽはいろいろなちえをはたらかせて、なかまをふやし     ていく」と結んでいる。

 5 段落の役割を考え、文章構成をつかむ。(問題提起、説明、例、意見、まとめ等)

    重要語句や文末表現を手がかりに段落の役割をつかみ、文章構造図を書いてみる。

    これは高度な作業です。話し合いながら、指導者がまとめていきます。

    2年生には無理があります。問題提示やまとめだけでいいと思います。

   

段 落  役 割     
      文 章 構 造 図
 
 題問題提示  @ーA−BーC−D−E−F−G−H−I
      
 @説明1
 A説明2
 B説明3
 C説明4
 D説明5
 E説明6
 F問題提示と答え
 G説明7
 H説明8
 Iまとめ

  

 6 比較して考える。

   何を比較するかという観点を見つけるのは、子どもにとってとても難しいので、指導者が提示して解決する面白さを感じ取らせます。

   それには、指導者がいい観点を見つけなければなりません。これがなかなか難しいのです。

    子どもが興味を持って取り組みそうな観点

    文章にその回答がある観点、あるいは文章を手がかりに推測できるような観点。

  タイプは2つあります。

    1 どの教材にも共通する形式的な観点

      この観点は、どの教材でも当てはまりますので、その教材で特徴的なものを取り上げます。

       ・文頭の言葉を比較する。

       ・段落のはじめの言葉を比較する。

       ・文末を比較する。

       ・重要語句を比較する。→ここまでは既にやってきています。

       ・呼称を比較する。

    2 この教材でしか考えられない内容的観点

      内容的観点は、その教材でしか解決できない観点です。この観点が最も子どもの興味を引き、思考力をつけます。

      ところが、この観点を見つけやすい教材と見つけにくい教材とがあります。そこが指導者の腕の見せ所です。

  (1) 花やじくの変化を比べる。

      1 はじめに段落番号を書かせる。

       2 段落に対応した「花」について書かせる。

         @ 花はどうなっていますか。どんな花ですか。→さいています。黄色いきれいな花です。
         A その花は、どうなりましたか。→しぼんで黒っぽい色になりました。
         C やがてどうなりましたか。→かれて白いわた毛になりました。
         D〜Iまでさがして、あったら白いわた毛と書きなさい。
         Bがあいていますね。ここでの花はどうなっていますか(  )して書きなさい。 

       3 「じく」がどうなっているか書かせる。 

         @に、じくのことが書いてありますか。→ありません。

         Aにはどうですか。→あります。  どうなりましたか。→たおれました。

         B〜Eまでじくがどうなったか探して書きなさい。

         F〜Iまではじくのことがかいてありませんね。どうなっているのでしょう。→たっています。

         @ではどうでしょう。→たっています。 (   )して書きなさい。

       4 「たね」を探して書かせる。

        「花」がかれて「白いわた毛」ができるのでしたね。後、何かできませんでしたか。→「たね」ができます。

        「たね」と書いてある段落を探して書きなさい。

        「たね」と書いていない段落がありますね。→@、A、C、E、F、Gです。

        このうち、「たね」がかくれている段落はありませんか。→C、E、F、Gです。(  )して書きなさい。

段落番号            花       じ  く
  @さいている 黄色いきれいな花(立っている)
  Aしぼんで黒っぽい色たおれる
  B(しぼんで黒っぽい色)     たねたおれている
  Cすっかりかれて白いわた毛  (たね)たおれている
  D白いわた毛            たねたおれている
  E白いわた毛            (たね)おきあがりのびていく
  F白いわた毛            (たね)(立っている)
  G白いわた毛            (たね)(立っている)
  H白いわた毛            たね(立っている)
  I白いわた毛            たね(立っている)

  (2) 「たんぽぽのちえ」をさがそう。
 
     
「たんぽぽのちえ」は、ひとつしかないだろうか。→ちがいます。Iに「いろいろなちえ」と書いてあります。
      「どんなちえ」か書いてある段落は、どこだろう。
       @にありますか。→ありません。
       Iにありますか。→ありません。
       @とI以外からさがしてみましょう。
        発言したものを順不同で取り上げ、整理して話してやる。
          じくをたおしてたねにえいようをおくりふとらせる。
          じくがおき上がってのびていきく。
          せいを高くするほうがたねを遠くまでとばすことを知っている。
          晴れて風のある日はらっかさんがひらく。
          しめり気の多い日や、雨ふりの日はらっかさんをすぼめる。


 7 比喩表現を指摘する。

   何かにたとえて説明している言葉をさがしましょう。
    見つけれない時は、段落を示してやる。

     D、G、H「らっかさんのように」→わた毛の様子を落下傘にたとえている。

     E「せのぎをするように」→じくが伸びていく様子を子どもたちが背伸びをする様子にたとえている。

     F「せいを高くする」→草丈のことを擬人化して「背」といっている。

 8 挿絵や写真にタイトルがないときは、自分でつけてみる。

   子どもが内容を理解して、表現するいい訓練になります。やれるところだけやらせます。どこを対象にするかは、子どもに選    択させます。

 9 筆者の感情・態度を表している語句を指摘する。

   説明文であっても必ず筆者の気持ちを表す言葉が、「助詞、修飾語、文末表現、比喩等」にこめられています。

    低学年では、無理ですから指導者が話して気づかせるようにします。

    この教材では、特にありませんが、子どもたちに親しみもって教材を読んでほしいという気持ちで、身近な比喩を使ったり、    擬態語(ぐったりと、どんどん、ふわふわと、ぐんぐん)を多く使っている。

   

10 段落の要点を「主語ー述語」の形でつかみ、要点をまとめる。

   「何がどうした」をとらえ、それに「どのように」をつけたすと簡単な要点になります。

    段落に文末がひとつしかない場合は簡単です。文の数が多くなるほど面倒ですから、そういう段落は、対象にしない方がい          いでしょう。

段 落      要 点
 @ありはものがよく見えないのに、ありの行列が出来るのはなぜでしょうか。
 Aアメリカのウイルソンがありの様子をかんさつしました。
 Bさとうを見つけたありが巣に帰ったら、たくさんのありが列を作って砂糖のところにいきました。帰りも同じ道すじをきました。
 Cいしをおいたらありはばらばらになりました。道を見つけたアリたちが砂糖を持って帰りました。また、行列が出来ました。
 Dウイルソンは、何か道しるべがあると考えました。
 E研究したら、においのあるえきを出すことが分かりました。
 Fウイルソンは、ありの行列が出来るわけを知ることができました。

   要点をまとめることは大変難しいことです。特に詳しく説明している実験・観察などは、大人でも面倒です。それを子   どもたちに要求するのは無理があります。できる子以外の子にとっては大変苦痛です。国語嫌いの子どもを作ってし   まいます。

    簡単な段落(@、A、F)だけやらせるようにしましょう。後はやらなくていいです。できる子に話させるか、指導者が   説明すればそれでいいです。  

11 全文の要旨をまとめ、筆者の願いについて考える。

   この学年では無理ですから、指導者が話してやります。

<指導者の参考に>

 以下の言葉は低学年では無理ですから、指導者が適切に選択して取り上げるための参考にしてください。

12 表現技法を調べる。(比喩、擬人、倒置、省略、反復)    

    筆者の感情を探るいい材料になりますし、子どもたちが表現活動をするときに役立ちます。
    

13 読者を説得するための筆者の工夫をまとめる。

   (題、論の展開、文末表現、例の内容・順序、表現技法、語句の使い方等)

   筆者は、対象学年の子どもたちが興味を持って読み進めるためのいろいろな工夫を凝らしています。

   低学年にあっては、指導者・教師が中心となって誘導します。

    題→「たんぽぽのちえ」 こどもたちに「たんぽぽに智恵があるのかな」という疑問を持たせます。子供たちは、自分たちには      智恵がある。動物にはあるか もしれないが、植物にあるとは思っていません。智恵を考えるのは頭です。動物には頭が      ありますが、植物には頭がありません。この表現は、子どもたちに意外性を感じさせ親しみを感じさせるための一種の       擬人表現です。

   論の展開→ 子どもにとって思いがけない題を示して、「たんぽぽにちえがあるのかな。ないと思っていたけれど」という疑問を           持たせています。は じ めに、子どもたちがよく見ている「黄色いきれいな花」を提示し、その花がだんだんしぼん            でくろっぽい色になり、たおれてしまうと いい ます。ああそうか、この花はこれで終わりだ。と思わせておいてまっ            たく逆な、「たね」に栄養を送っているといいます。花は枯れる けれ ども、その後に白いわた毛ができ、それにつ            いている種をとばすのだといいます。「たおれていたじくがおき上がってぐんぐん伸びて い く」と子どもたちにとって           思いがけないことを言います。「なぜ、こんなことをするのでしょう」と問いかけ直ぐ、「せいを高くするほ う がたねを           遠くまで飛ばすことができる」と答えています。晴れて風のある日はらっかさんを開くが、しめり気の多い日や雨             降りの日はらっかさんをすぼめる」という不思議さを提示し、その答えを言っています。最後に、知恵を働かせる            のは、 「あたらし いなかまをふやすため」だとまとめています。子供たちの読もうとする興味を持続させるための            展開です。

  文末表現→敬体で現在形表現です。
          「ません」(否定)をBで1回。 「のです」(断定)をBで2回、DとIで1回ずつ。 「のでしょう」(問いかけ)をFで            「からです」(訳)とセットで使い、「からです」はHでも使っています。
          普通は「問いかけ」は文頭で使いますが、2年生ということを考えてか、文章の途中で使っています。

  表現技法→擬人化した表現が多いです。比喩も子供たちの身近なものを用いています。

  語句の使い方→擬態語を多く使っています。

14 筆者の感情・態度を明らかにする。(指導者・教師が中心となって誘導する)

    説明的文章には、そのことに対する筆者の感情、感動、態度が必ず含まれています。文、修飾語、助詞、文末
   表現、比喩など
から、筆者の感情、感動、態度を探り、物事に対する見方、考え方を学んでいくのです。

    筆者の感情・態度は、は直接表現されている場合と間接的に表現されている場合があります。同じ物事を表す時
   に、なんという言葉で表現するかということ です。例えば、「チチオヤ」を「父、父親、お父さん、父さん、パパ、おや
   じ」などと呼びますが、どの言葉を使うかによってその人物とチチオヤとの関係や気 持ちがが推測できます。

   また、間接的に表現されている場合は、修飾語に筆者がどんな言葉を使っているかで分かります。そのことに好意
   を持っていればプラスイメージの言葉を使い、好意を持っていなければマイナスイメージの言葉を使っています。

   プラスイメージの言葉とは、誰もがいい感じを持つ言葉のことです。
   例えば、「きれいな花」と「みすぼらしい花」では、その人物がその花に対してどんな感情を持っているか分かります。

<発展段階>

   対象児童によってどの活動を選択するかは、指導者が決める。

1 部分を図表やイラストに書いてみる。

2 意味段落に小見出しをつける。

3 筆者の考え・意見を書き抜く。 

4 目的にそって、部分や全文を要約する。

5 自分の感想や意見をもつ。

   内容、構成、表現、筆者の意見などについての自分の考えを話したり、書いたりする。

6 発展読書をする。

   似たようなもの、こと、材料、テーマを取り扱った本を読む。

7 簡単な説明的文章を書いてみる。








 


   
4 筆者の工夫をさぐる。

 この文章には、筆者が2年生の子供たちに「たんぽぽのちえ」、命の不思議さを分かってもらうための工夫が施されている。
 (1)ていねいなやさしいいいまわしをしている。
 (2)子どもに分かりやすい比喩を使っている。
    らっかさんのように→子どもにとってプラスイメージの言葉である。
    せのびをするように→子どもにとって身近な行動である。
    せいを高くする→「せい」は、背。背丈のこと。「せいくらべ」。草丈にも使う。
 (3)子どもにとって意外なことを提示して興味を引いている。
     「黄色いきれいな花」→くろっぽい色にかわって
     「ぐったりとたおれて」→かれたのではなく、たねを太らせる。
     「すっかりかれて」→白いわた毛ができる。
     「たおれていたじくが」→おきあがります。

5 筆者の感情・態度を明らかにする。

 プラスイメージの言葉→きれいな、どんどん、しずかに、休ませて、どんどん、ぐんぐん、
 マイナスイメージの言葉→ぐったりと
 
 筆者が、たんぽぽについていいイメージを子供たちに与えようとしていることが分かる。





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